どんでん返し、いつ仕掛けるか?(6)
どんでん返しというほどでもない、ネタとしては中くらいのインパクトの情報開示ならば、ターニングポイントやミッドポイントといった要所と要所のあいだで中弛みしそうなところで使う方法があります。今まで伏せておかれた情報が公開されると「話が進んでいる!」という印象を与えることができるからです。
特に続き物で話が長い場合はそうですが、事件が起こって主人公が動いていても、あまり話全体が進んでない印象を与えてしまうことがあります。そのため、あらかじめ情報の欠落(=謎)を仕込んでおいて、それをところどころで明かしていくことで流れを作っていくのです。
ドラマの骨格は目標に向かって進む主人公の行動ですが、情報の開示はその流れと寄り添い、支える働きをします。
物語の中でドラマを進行させるのは主人公ですが、そこで開示される情報の受け手は観客・読者です。だから、情報が開示されるたびに前進するのは観客・読者の“認識”なんですね。物語の中で主人公が前に進むことと、観客・読者の認識が深まっていくことの両方が「話が進んでいる」という感覚を生み出しているのだと思います。
情報の開示が「話が進んでいる」感覚を生むことの応用として、物語が佳境に入っていくときに、謎の答えを次々と明かしていくという手法があります。今まで伏せていた情報を明かすことで「話が進んでいる」と感じさせるのを、複数重ねることで、感覚的に物語の加速度を高めるわけです。
また、「これだけ伏線を回収してきているのだから、いよいよ話は核心に近づいているのだな」と観客・読者の側は感じることにもなります。
最後にちょっとした小ネタについて。
これは、いつ使ってもいいと思います。各場面にひとつは小さな意外性があってもいいんじゃないでしょうか。真面目な場面と思わせておいて笑いを仕掛けるとか、例えばそんなことですね。
最初にも述べましたが、エンタメ作品のドラマの構造はそれなりに決まったパターンになります。その中で、さまざまな意外性を仕込んでおくのですが、大きなどんでん返しは別に無くても物語は成立します。それより、各場面で退屈させないために小さなネタをちゃんと用意しておくことの方が、どんな物語でも求められることかもしれません。
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