どんでん返し、いつ仕掛けるか?(3)

 物語のラストで大どんでん返しが決まれば凄いのですが、やはり簡単ではありません。

 長く引っ張れば、途中でネタが割れてしまう可能性も高まりますし、長く引っ張った分だけ観客や読者の期待も大きくなるので、「勿体ぶったわりには大したことなかった」と思われてしまう危険性も高まるからです。かといって、バレないように伏線を絞りすぎたり、意表をつくためあまりに奇抜なことをしたりすれば、納得いかないという不満を生むことになってしまいます。


 というわけで、どんでん返しをいつ仕掛けるかいうタイミングの話になるわけですが、三幕構成で作られている物語を基準に考えてみます。


 三幕構成の物語での第一幕は、主人公をはじめとする主な登場人物の紹介や世界設定など、話を理解するために必要な情報の提示を行う導入のパートです。

 しかし前提としてまとまったイメージを与えておかなければ、どんでん返しをしたくても、まだひっくり返すものが無いわけです。ですから、第一幕でどんでん返しを仕掛けるとしたら、その最後のところで仕掛けるしかありません。


 この場合は、第一幕で説明したことを全部否定するというより、説明すべき一番大きな情報を最後に持ってくると考えた方がいいと思います(全否定をしてしまうと説明を一からやり直すことになり、テンポが悪くなる)。映画『マトリックス』がこのタイプですね。実はこの世界は…という説明を第一幕の最後に持ってきています。TVアニメで第1話にどんでん返しがあるものも、だいたいこのパターンです。


 導入パートで説明すべき情報のうち、最も意外性のあるものを最後に提示。とりあえず状況が見えてきたところで主人公が進むべき方向を示して、第二幕に移るという流れです。

 世界観や主人公にちょっとユニークな設定があるときは、このタイプの演出を考えてみてもいいかもしれません。早い段階で種明かしをするので大きな失敗にはなりにくいという利点もあります。

 ただし、第二幕以降もきちんと盛り上げていかないと、面白かったのは最初のインパクトだけ、と認識されてしまう危険性はあります。また、どんでん返しのネタに自信があれば、タイミングを第二幕以降にまで引き延ばすことを考えてみてもいいかもしれません。


 次は、第二幕でひっくり返すパターンを考えてみます。


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