9.sky
無事誤解も解け、ウフフな展開から、俺はヴェローゼに住むことになった。
今まで関わった人達の記憶は、パトッポが書き換えてくれるらしい(水はパトッポが3の前に置いてきてくれた。確かに、優秀な使い魔である)。
何とか雅の両親にも挨拶もヴァンパイアになるための儀式も終わり、今日は透月家で盛大に開かれたパーティーに出席している。慣れない空気の中、赤いピアスに触れながら別室で休憩していると、いきなり手で目隠しをされた。
「だーれだっ?」
雅の声だ。だが、もう驚くまい――!!
優しく手に手を重ね、後ろを振り向く。
肩にさりげなくかけられたシフォンショール(ふんわりやわらか、淑女の白!!)。
お揃いの赤いピアス。
雅は、グッと大人の女性になった姿を見せてくれた。
そして、俺はまたも驚いてしまった。
バッサリカットし、ショートヘアになっていたのだ。……良い。
「切っちゃった。ショートも良いでしょ?」
俺の心を見透かしたように、けれども、優しく微笑む雅。
――キスをしていた。
俺から、雅に。
胸元と手の甲にもキスを落とし、指にそっとキバを突き立て、雅の血を吸う。
恥ずかしがる顔も、
雅は俺を抱きかかえ、空を
「きっと今頃、みんな騒いでわね!! ……夏祭りの時、看病してくれて、ありがと」
「なんか言った?ごめん、風で聞こえな……」
――ていうより、たわわな胸が当たっ…‥当たってるぅ?!!
そしてまたも、デコピンを打ち込まれてしまった。
「――なぁーんにも!! それより、どこ行こっか? ……海の近くが良いな」
「うん。雅とならどこへでも」
夏祭りのあの日、“跡継ぎになりたくない“と雅から相談を受け、こっそり家出計画を立てていた(雅の影武者として、パトッポが協力してくれている)。
行き先も、これからのことも、まだ決めてはいないけど、二人でなら――。
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