4.incredible

 帰宅後、ベッドにダイブし、デート前日のJKみたいに足をジタバタさせる。

なんだよ、もう!!

春からうまくいきすぎじゃないか?!嬉しいけど!!

同じ部署になって、教育係になって、二人で飲むようになって、話せるようにもなって、家も近くて、今日は一緒に帰った上に夏祭りに誘われて……。

やっぱりうまくいきすぎている。こんなに幸せでいいのだろか。

……まさか、俺に糸が付いていて、誰かが操っているとか?!!

それとも、神様からのご褒美?!!


 でも、もうそんなことはどうでもいい。今は、明日のことだけ考えよう。

「……明日、午後六時――」

マーサがベッドからだれる俺の右手を舐める。俺はどや顔を向ける。

「良いだろ~。明日は、透月さんと夏祭りデー……」

そこで俺はとっても重要なことに気付く。

明日は、デートなのかっ?!!

ただ、一緒に行くだけかっ?!!

……でも、別れ際に見えた、透月さんのいつもより少しピンクに染まった頬……。脈アリか、ナシか?!女性から誘われたり、遊んだりしたことが無くて、全くわからない。自分の手首に指をあてる。……ある!! っじゃなくてっ!! ボケた自分に自分でつっこむ。もはや、何を言っているのか分からずに暴走し、最後はマーサにしがみついた。

「どーしよマーサ!! 」

 だが、今度は名前を呼んでしまったせいで、透月さんの顔を思い出してしまい、ベッドの上をゴロゴロし続ける。マーサは、そんな主人を呆れたように見つめていた。

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