4-8「大きな音」

 船が出発して8日が経過した。食事の時間以外は相変わらず俺とスペードは木刀で撃ちあいダイヤは『強化の魔法』の習得に励んでいた。食事は食堂で取るのだけれど俺の分は2人にこっそり食堂から持ってきてもらうという塩梅だ。


「この船の目的地は? 」


 ふと今まで聞いていなかったので尋ねる。するとダイヤがパタンと本を閉じチケットとオパールさんのメモを見比べながら答える。


「この船の目的地はスーフォという街のようです。父のメモによるとどうやら冒険者ギルドがあるそうですよ」


「ギルドか、行ってみてえな~」


 いつの間に聞き耳を立てていたのかスペードが腕が鳴るとばかりに剣を見つめる。


「ギルドって何? 」そう尋ねようとした時だった。


 バゴォオオオオオオン!


 突然部屋の外から大きな音が鳴り響く。


「何だ! 」


 一番先に反応したのはスペードだった。剣を持ち素早く立ち上がり扉へと向かう。次にダイヤが動いた。


「トーハさんはクローゼットの中へ! 」


 俺にそう告げるとスペードを追いかけて走って行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る