2-4「スライムの洞窟」

 俺は決心してスライムたちのあとについていく。15分ほど歩くと今までの平坦な道が信じられないような坂にたどり着く。その坂を下るとコケや葉で覆われた岩の前についた。小さな穴が開いている。


 どうやらこの中がこのスライムたちの住処らしい。見ると入り口だけ入り繰りは1メートルほどで残念なことにギリギリしゃがまないと入れない大きさだ。


 スライムがこちらをみて「ピュイ!ピュイ!」と声をかける、恐らくついて来いと言っているのだろう。せっかくなので好意に甘えようとしゃがんで中に入る。


 中は意外にも広く高さは2メートルほどで広さも6畳半ほどだった。中は暗かったが段々と目が慣れてくる。洞窟の中には葉っぱと枝で作ったまだ真新しいベッドがあった。サイクロプスが出たのが最近らしいのでそのときに避難してきたのだろうか?


 雨風を凌ぐには最適の場所に加え、入り口は狭いので襲撃もされにくいと素晴らしいところだ。こういうところが秘密基地だったら楽しいだろうなあと呑気なことを考える。


「ピューイ!」


 スライムはそのベッドの中をガサゴソと探り何かを取り出しこちらに持ってきた。それは銀色で黄色い小さな光物がついたペンダントだった。

 スライムには消化ができなくてここまで持ってきたのだろうか?


「ありがとう、頂くよ。」


 俺はそのペンダントを受け取り身体に巻き付けた。意外とピッタリなことに驚く。


「じゃあ、俺はこれで、もう逸れないようにね。」


 俺はそう礼を言うと狭い入り口をくぐり外へ出た。そのままニンビギまで向かおうとしたがふと思いなおす。


 せめて俺が地面に落としたリンゴだけは置いておくか。


 そう決心した俺はさっきリンゴを置いた場所まで引き返しリンゴを回収、そして持てるだけのリンゴを穴の中へ転がしていった。


 中から「ピューイ!」と嬉しそうな声とともに1匹のスライムが出てくる。


「じゃあ、今度こそ、元気で。」


 俺は見送るスライムに手を振りニンビギまでの道を向かう。木の棒を拾いニンビギの方向を見ながら木を刺し影の様子をみるところこのまま帰れば丁度約束した時間だろう。ダイヤが約束した時間に間に合う必要はないが、言い出しっぺに加え待っているといった俺が遅れるわけにはいかないと最悪全速力での帰還を覚悟していたがその心配はなさそうだ。


 俺は日が暮れかけている森をニンビギ目掛けて歩き始めた。

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