今から私が貴方の母親です
雪火
なんか泣き声聞こえるんですけど!?
11月下旬 雪が降る寒い夜だった
幼馴染である淳也と2人で食事をしていた時の話
「なあ、なんか赤ちゃんの泣き声聞こえね?」
「泣き声…?どうせどこかの家の子供じゃ……ってか、近くない…?」
「裏庭から聞こえるな…」
意を決して窓から外を眺めるとそこにはダンボール…
間違いなくそこから赤ちゃんが泣いていた
「あんなんじゃ死ぬ!」
「おい、お前…」
「どうこう言ってる暇なんてないでしょ!?今すぐ家の中入れなきゃ…!」
お前そんなことしてどうするつもりなんだよ…なんて言えたら良かったのかもしれないが流石に外で泣く捨てられた赤ちゃんは俺も見捨てられるわけがなかった…
それに、赤ちゃんを抱っこする真希が優しく笑うから仕方ねぇな…
「将人…って名前だって…」
「しかし、本当にあるもんなんだな」
「…うん……多分捨てられて時間も経ってなくて何も無かったからよかったけど…」
「酷い話だな…」
泣き止まない将人に優しく触れる真希は今にも泣きだしそうだ
「…淳也…」
「ん?」
「この子…私が育てちゃダメかな…」
「あーー…でも…手続きはしないとダメだと思うぞ…それにそれがちゃんと通るかも分かんねぇ…」
「…無理矢理にでも通してみせる……見捨てることなんて出来ないよ…」
「分かった、俺も力貸すから…取り敢えず親父に連絡取ってみる」
「ありがとう…」
「取り敢えず今日はもう寝ような…そいつもぐっすりだ…」
いつの間にか泣き止んでいた将人を連れて寝室へ向かった
翌朝、親父から連絡が入る
どんな手を回したのかはわからないが申請が降りたらしい
物事が上手く行き過ぎて怖いがそこは流石親父とでも言っておこう…
親父も母親も昔から真希のこと可愛がってたしな…深く探るのはやめておいた方が身のためだ
「真希、申請降りた」
「ほんとに…!?」
「ああ、後で親父に電話でもしてやってくれ、喜ぶから」
「うん…ありがとう淳也…、」
「いや、俺がなにかしたわけじゃないからな…」
「それでもだよ…ありがとうね…」
「いーえ、…これから頑張んねぇとな、真希」
「うんっ…引き受けたからには愛情たっぷり育ててみせるよ…?」
そうふわりと笑った真希につられたの将人もニコニコと笑った
「今日から私が貴方のママです。至らないことだらけで泣かせてしまうかもしれないけど精一杯頑張るからよろしくね…将人」
律儀だなこいつ…
そんな所が可愛いんだけどな
今から私が貴方の母親です 雪火 @yu0424
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