青春ラジオ
人新
第1話
部室に着いたとき、ドアに「現在、わが校の学生が一番望んでいるもの:アンケート結果!」とか言う、新聞部発行の記事が張り出されていた。
ったく、うちは新聞なんかいらないんだよ。
別に興味なんか微塵にもなかったが、まぁ暇つぶしにと部室で読んでみることにした。
まず、新聞は全5ページで、お目当ての記事以外の4ページすべて「今月の教師スキャンダル!」で構成されていた。ほんと、教師から強制廃部にさせられるぞ...。
まぁ、教師のスキャンダルには興味がないので1ページ目だけを取り出して、読むことにした。
アンケートは全生徒の半分ぐらいの人数を対象として聞き出したらしく、それの証拠としてか何人かの顔を掲示していた。って言うか、すげぇーな、うちの学校はそこまでは多くないとは言えども600人はいるぞ。はっきり言って調査人数が少々信憑性が欠けているような気がしたが、まぁあの新聞部は行動力だけはほんと感服するレベルだからな、本当なんだろう。
ではまず、第三位。彼氏彼女、12パーセント。
はっきり言って驚いた。いや、誰だって一番に彼氏彼女欲しいんじゃねぇのか...。俺なんか毎年神社で500円投げてお願いしてるぐらいだぞ。
まぁ、そのことはいい。
次は第二位。金、21パーセント。
いや、まぁ、金は欲しいけど。なんていうか、こう...、 まぁいいか。
最後、第一位。
これを見た時、あー確かにと思った。俺もやっぱりそれを一番望んでるかな。当たり前だがなんとなく忘れていた、あんまり身に感じるものじゃないからな。
とりあえず、全部一読したので紙を丸めてゴミ箱に3Pシュートをした。見事ぶれることなく放射運動。
ちなみに一位青春。58パーセント。
「おっはよー!」
ちょうど活動を始めようとした時に、長い茶髪のおてんば少女が現れた。
彼女は俺と同じ学年の出雲という。意外と言動があほっぽいが案外賢かったりする。
「おー、ちょうどいいところに来たな、機材運ぶから手伝ってくれ」
「はいはーい。あ、そういえばね、これ新聞部が君たちにだってよ」
彼女が渡してきたものは先ほど一読した記事だった。バカなのあいつら? さっき、部室のドアに読めと言わんばかりに張ってあったじゃねぇか。
「あー、さっき読んだよ」
「えっ、そうなの。なんで渡してきたんだろう?」
「知らん。あいつらどっかのパーツが抜けてるからな、頭がうまく働いてなんだろうよ」
「ははは、それはちょっと言いすぎだよー」
彼女は笑いながら記事を机に置いた。それから、カバンを置き、一度背を伸ばしてから機材運びに取り掛かった。
「そういえば、今日は何をテーマにして話すの?」
出雲は機材を持ち運びなら、顔を出して聞いてきた。
「そうだなー、今日は暖かいし、校庭の魅力でいいんじゃねーの、あそこ晴れの日は結構人が来るしな」
「あれ、それ二週間前にやらなかったけ?」
「ん? いや、そう言えばやったな。じゃあ食堂の新メニューは?」
「それも、一週間前にやったじゃん」
「えっ、まじか。ちょっといろいろやりすぎてネタが枯渇してるな」
「もう、そろそろネタ探ししないとねー」
とりあえず、機材はすべて机に運んだので、彼女と対峙するように腰を掛けた。
「じゃあ、今日はどうしようかー?」
彼女は手を合わせて、考える仕草を始めた。
そうだな、ネタか。今日に限ってあんまり浮かんでこねーな。ネタ、ネタ、ネタ。だめだ、このままでは寝てしまいそうになる。
そうやって、俺も腕を組みながら考えていると彼女が小さく手を叩いた。
「そうだ! この記事はどうかな? ネタ探しは明日からにして今日だけこれを使
うってのは?」
「まぁ、そうだな。せっかくだし、これを使うか。けど...」
俺は机に置かれている記事を手に取り、四枚を抜き出した。
「これはだめだ」
「えっ、なんで、なんで?」
俺はその疑問に対して言葉で返すのは面倒なので、記事の見出しを見せた。
「あ、あー、確かにね...。それはだめだね」
「じゃあ、今日はこれでいくか」
「そうだね。今日はこれでいこう!」
そうして、この記事を基に少し話し合いながら今日の打ち合わせ、内容を決めた。
現在は16時23分。俺たちの活動は後七分経てば始まる
青春ラジオ 人新 @denpa322
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます