キャラメル


久しぶりに嫌な夢を見た

折角今日はケーキバイキング行けるのに少しだけ気分が悪い

そんな時だった

梨沙から連絡が来た


「優衣を怖がらせたいわけじゃないの、ごめんね。でもさっきあの人を見かけた…お願い今日は1人にならないで」


嫌な予感って当たるものだね


でも神田くんとの約束は守りたい

楽しみにしててくれたし…神田くん迎えに行くって言ってくれてるし1人になることなんてそんなにないよね…


ごめん、梨沙


そんなことを思いながら返事をする


嘘はつきたくない


「今日神田くんとお出かけの予定があるから、それ終わったら、ちゃんと帰るね。心配かけてごめん」


帰ってきた言葉は私を思う優しい言葉だった


「そっかぁ…心配だけど神田くんから離れちゃダメだからね!!何かあったらすぐ連絡すること!楽しんでらっしゃい」


ほんとに、お母さんみたいな親友だ


大丈夫、大丈夫


ケーキバイキングにあの人がいるはずないし…どうせ、飲み屋かパチンコか何処かだろうし…


頭の片隅によぎる嫌な感情をかき消す為にクローゼットを開ける


何着ようかな…早く準備しないと神田くん来ちゃう


急いで準備をしているとチャイムが鳴った


「ごめんね!今準備終わるからちょっと…」



何も確認せずにドアを開けてしまった


なんて馬鹿なことを私はしたのだろう

きっと、浮かれていたんだ


タバコと酒の香り


噎せてしまうくらい嗅ぎなれた嫌な香り


冷や汗が止まらない、指先が震える


声のひとつも出せないまま


男は口を開いた


「んな格好してどこ行くつもりだこのガキィ」


頭に響く怒鳴り声、髪を掴まれる

されるがままの私。こわい、いたい、くるしい

呼吸も上手く出来なくて頭が回らない

何か言われてるのはわかるのに、言葉の意味も分からない


「声も出せねぇんかてめぇ!」


グラグラと揺れる視界、なんで、なんでなんでやだヤダヤダ、死にたくない、死にたくない

息をすることだけで精一杯、身体がうごかない、たすけて、


たすけて、


神田くん



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あの味を教えて 雪火 @yu0424

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