第11話 兄と妹(6)
その日、わたしは運命の人に出会った。この人との出会いを運命と呼ばずに何と呼ぶのだろう。
わたしはきっと、あの村で虐められていたのだろう。それはわかった。そうじゃないと、暴力を振るわれるということはないと思う。
虐められたのは五歳ぐらいからのこと。最初引き取ってくれたお爺さんが亡くなって、一人になって寂しかった。
その頃、すでに神術のことは知っていた。そして、すでに死んでいる犬を見付けたのは直後のことだった。
一人になりたくない。
傍に誰か、いてほしい。
ただそれしか思っていなかった。わたしはただ、またひとりぼっちになることを恐れた。
今日教わった詠唱のことなんて知らなかったし、術の名前もわからなかった。ただ力を使っただけ。
そうしたら、すっごく大きな光が出てきて、その光が犬を包むと、目を開いてくれた。そのまま光を出し続けて立ち上がって、歩いてくれるまでになってくれた。
それを見てた周りの人が目を丸くしていたのを覚えてる。どうしてそんな表情をしていたのかわたしはわからなかった。生き物はいつか死んでしまう。でも、生き返らせることがいけないことなんて知らなかった。
今では倫理観とかを知ったから、いけないことだとわかってる。そもそも、生き返らせるなんてことができてしまうのがおかしいのだと教わった。
最初は魔導士として疑われた。ゾンビメーカーとして子供からも大人からも石を投げられた。
正直、わからなかった。
誰も教えてくれなかった。
誰もが、罵詈雑言を浴びせてきた。
それが当たり前なのだと、受け入れてきた。
その全てを、間違っていると訴えてくれる人がいた。
そんな日々が
そんな人と、ずっと一緒にいたい。それだけだった。
きっとこの人は、わたしをずっと守ってくれる。安心して傍にいられる。
これからの
そんな想いで窓から差し込んだ陽の光を浴びて、目を覚ます。
目の前には大切な人が、わたしのことを抱きしめていた。
ああ、こんなに幸せでいいのかと。
たった一つの出会いでわたしは、救われてしまった。
この温かみを、わたしは忘れないように抱きしめ返す。
「俺を……。独りにしないで……」
それは寝言だった。彼の胸に顔をうずめているため、表情は見えない。どんな顔をしながら、今のセリフを呟いたのだろう。
今もこうして、独りにしていない。一生、するつもりはない。
お兄ちゃんが、どんな生活をしてきたのかはわからない。
それでもこれからは
「わたしがこれから、一緒にいるから……」
そうしてわたしは、再びまぶたを閉じる。
その後ラフィアさんに怒られたけど、そんなのは気にしない。
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