第4話 法との戦い、そして……

 何とか法の抜け穴は無いか、

 他人になりすますことはできないか?

 戸籍自体変えてしまえないか?

 

 インターネットや知り合いの弁護士、持っているあらゆる手段を駆使し様々なことを画策したが、素人の私には全く歯が立たなかった。

 ただただ、その別れの時が虚しく近づいて来るのだった。


 離婚当日、私はいつものように美沙恵を抱きしめ、この悲しい現実に涙を流した。

 美沙恵も多くを語らず、ただしくしくと私の腕の中でその美しい雫をこぼした。



 この法律が施行された後も二人で会う場面を見つかった場合、厳しく処罰されることになっている。


 私たちはお互い、遠く離れることにした。

 近くにいてはきっとまたお互いを欲してしまう、それでは結局幸せにはなれないだろうから。


 美沙恵の最後の後ろ姿を私は忘れられない……守ってやれなくて本当にすまない、私に力があれば。


 あの日から私は美沙恵のことを忘れたことは一時も無かった。


 それから10年の月日が流れた。

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