DAY12 正夢

「神の選抜というのは神の世代交代の儀式みたいなものだ。君が夢で経験したことを覚えていないというから一から説明すると、最後の一人になるか、神を殺すかすれば戦いは終わる。達成した者が神になるからね」

 そんなものが存在するのか。額からタラリと垂れたのは緊張のせいか? 恐怖のせいか?

「でも、君の“正夢”はまだ完全じゃないみたいだね。なんといっても君は生きているのだからね」

 そこまで聞いて、僕はまさか、と思った。

「もし、君の“正夢”が完全なものだったならば君は今頃死んでいただろうからね。“正夢”は夢の中の力を現実で行使可能にする代わりに、夢での傷は現実のものとなる」

 こう聞かされると自分のしたことの恐ろしさを改めて感じざるを得ない。

「もう一つ言うとね、君は自分の身を守れないということだ。その剣以外では、ね。」

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