DAY7 再会
彼と別れた帰り道。
僕は知っている顔に出会った。
「また会ったね」
僕の挨拶に対して少女ちゃんは顔を曇らせてこう言った。いや、最初から曇っていた。決して僕に話しかけられたのが嫌とかではない、と思う。そう思いたい。
「あ……お久しぶりです」
少女ちゃんは僕の転んだだけではこうはならないだろうという僕の破れた服を見て、
「あなたも“神の選抜”に巻き込まれてしまったのですか?」
と言った。そうなんだ、と答えようとして僕は気づく。
あなたも?
「そうなんです。「私」も巻き込まれてしまったのです。今まで生きてこれたのは奇跡です。そんなことより「わたし」はあなたが神になるべきだと思います。なので……「わたし」を、空っぽの「私」を、殺してください」
僕は少女ちゃんが“神の選抜”に巻き込まれているという事実よりも、少女ちゃんの言った言葉の方に驚くことになった。
「なんで僕が君を殺さなくてはならないんだい?」
「あなたが神になるためです。参加者で最期の一人になれば神になれますから」
僕はしゃがみ込んでうつむき気味な少女ちゃんと目が合うようにしてから、
「僕は人を殺そうとは思わない。そもそも僕は神になるつもりもないしな。まずは神とも話し合えればいいと思っているぐらいだ。どうしても僕が誰かを殺さなきゃならない状況になったら、僕はそんな状況をつくりだした神を殺してやる」
少女ちゃんは僕の手を振り払い下を向きながら、
「そう、ですか……」
と言い、それきり何も言わなかった。
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