DAY2 剣

 次の日、僕は彼女に昨日のわけのわからない単語の出てきた話について詳しく聞こうと思い彼女の家へ行った。

 到着したのはいいのだが、彼女の姿が見えない。もしかして居ないのだろうか? あの、全く外に出たがらない彼女が? まさか。

 

 もしかしたようだ。

 今日彼女はここには居ない。

 本当に居ないと確信を持てたのはDAYカウントのおかげだったが。以前僕が一人で不思議を探したとき、つまり僕の単独行動だった日の続きの数になっている。それにしてもこのDAYカウントとは一体なんなのだろうか?

 彼女の家を散策していると机の上にUSBメモリと“このメモリを君に”といういまいち誰に当てたのか分からない書き置きがあった。

 ここに入るのは彼女を除いて僕だけだろうという勝手な想像からUSBメモリの中を見ることに決めた。彼女のパソコンはなぜか電源が入りっぱなしになっていたので使わせてもらうことにした。恐らくパスワードを入力しなくても使えるようにしておいてくれたのだろう。このパソコンにあったであろうデータが空になっていたしそういうことなのだろう。もともと空のパソコンだっただけかもしれないが……


 そのメモリに入っていたファイルはたった一つ、MP3ファイルのみだった。

 そのファイルを再生するとパソコンは録音された彼女の声を発しはじめた。

「やあ。久しぶりというべきなのかな? もしくは初めまして、かな? まあ、初めましてはないだろうね。つまるところ、誰がこれを見つけるかは大体わかっているのさ。

 さあ、本題に入ろうか。君は神の選抜について聞きに来たんだろう? まず、神になるには、そのときの神を殺すか、参加者を全員殺すかのどちらかの方法がある。参加者は……」

 音声はここで少し言葉につまり、

「関わりのあるものが選ばれる」

 と続けた。ここまでですら質問したいことがあるのだが相手は録音された音声。ここは何も言わないでおこう。

「参加者にはそれぞれ神の力が与えられる。神の力と一括りにしているけれどもその内容はまちまちだと思ってくれ」

 ここで少しの間があった。が、まだ続きはあるようなので待っていた。

「とにかく、だ。今、この星で神の選抜が始まろうとしているんだ。一つの星に神は二人も要らないからね。そして、僕と面識のある数少ない人物の一人である君も注意しておくに越したことはない。棚の中に剣が入ってる。持っていくといい。安心してくれ。銃砲刀剣類所持取締法違反にはならないから」

 色々言いたいことはあったがまだ続きはあるようだ。

「そうそう。忘れていたよ。僕はやらなくてはならないことができたから少しの間留守にするよ。僕も外になんか出たくはないけれど、僕の用事はshouldではなくmustなんだ。部屋は自由に使ってくれて構わないよ。それじゃあ、くれぐれも気をつけて」

 僕はMP3ファイルの再生が終わったことと他のファイルがないことを二度三度と確認し、彼女の忠告通り棚から剣を取り出す。剣は剣道の竹刀袋のようなものに入っていた。いや、実際僕も竹刀袋なんて剣道部の人が持っているのをとう目に見たことがあるだけなので実際のところよく分からないがとにかく、全体が布の袋ですっぽりと覆われていた。

「さて、これからどうしたものかな」

 こんな弱音を吐いたのはいつぶりだっただろうか?

 僕はとりあえず街に出ることにした。

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