DAY2&Day3=DAY1 僕と「私」

 それは僕がいつのまにか習慣化した元不思議探し(という名目の)散歩をしている時だった。

 一人の少女に出会った。

一人の少女に話しかけられたのだ。

「あなたは『私』に会ったこと、ありますか? 『わたし』を知っていますか?」

 僕は出会ったばかりの、明らかに年下の少女に、言葉で完全なる不意打ちをもらってしまったのだ。

僕はうろたえ、ええっと、などと口ごもりながらも、

「それは、どういうことだい?」

ちゃんと会話の形を取ることができた。それはいいのだが、僕も世話焼きというか、なんだか損してるような性格な気がしてきた。ただ一言

「無い。」

 そう答えればいいのに……

「理解してはもらえないと思うのですが『わたし』は『私』を知らないのです。だから色々な人に『私』について聞いているんです。『わたし』について」

「それは記憶がないという解釈で間違い無いのかな?」

「はい。間違いありません」

 僕は少し考えて、

「僕は君のことを知らないし、僕にはどうすることもできない」

 彼女の顔から太陽が沈んでいった。

「でも、なんの根拠もないが、君のことをどうにかできそうなやつなら知ってるぞ」

 さっき沈んだ太陽が昇ってきた。

 さっきっから太陽と言っているがそれは熱とかではなく、表情の明るさや顔の向き、笑顔? 等のことを言っていることをくれぐれも勘違いしないでほしい。まあ、無駄な注釈であろうが……

「僕としては今からでも後日でも良いのだが、そいつのところに行ってみるか?」

「はい。それと、今からが良いです。」


 そんなこんなで、彼女のところに不思議ではなく、今、僕の隣を歩いている少女ちゃんを連れて行くことになったのだった。

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