DAY 2 選択

 翌日、僕は彼に言われた通り彼に電話した。

「やあ。今日は昨日の話の続きをしようと思ってね。」

 今日も3コールだった。というかそれより、続きのある話だったのか。もう彼女に話したぞ。

「問題ないよ。じゃあ、僕の仮説第二弾の始まり始まりといこうか? 未来は枝分かれしているんだ。今、君は現在を生きていて、日々、選択の中を生きている。分かるかい? 例えば、今すぐこの電話を切ることも可能だ。そんなことしても掛け直すけどね。けれども、それに出ないこともできる。つまり、未来は君の選択で変えられるってことさ。」

「ちょっと待て。昨日の話と真逆じゃないか。」

 僕はそう言わずにはいられなかった。

「そんなことないよ。あと、人の話は最後まで聞くものだよ。こう考えてごらん。パラレルワールドだ。人々の選択の数だけ枝分かれしているだけさ。選択Aには未来Aが、選択Bには未来Bがあるだけで

 過去も未来も変わってはいない。既存の未来のどれを選ぶのか、という話だ。こう考えると昨日の話と真逆じゃないだろ?反してすらいない。」

 僕にはこの話は納得できなかった。

 正確には、頭では理解できても腑に落ちない、みたいな曖昧な感じなのだが。


 僕はそんな曖昧な感情を抱きながらこの話を彼女に話した。

「昨日の話と相まって、余計興味深いよ。でも僕は君の考えを聞きたい。昨日と今日で君の考えは変わったかい?」

 彼女はそう聞いてきた。

「昨日の考えと変わっちゃいないよ。未来は意思で変えられる、と思う。」

 僕がそういうと言うと彼女は軽く笑っていた。興味深いと言わんばかりに。



 彼は、電話の最後に

「もう君に話すことのできるような、言葉になった仮説、不思議な話の持ち合わせは無いよ。そういうことでなら、もう僕に電話をかけてきても無駄だということだ。じゃあ、君からの私用の電話、待ってるよ。」

 と言われてしまった。

 明日からはどうしたものか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る