DAY4 不思議探し
「不思議なことを探そう!」
それが本日の僕に対する彼女の第一声だった。その発言がすでに不思議だと思うが。
「不思議なこと?」
「そう! 不思議なこと。」
「なんでまた?」
「最近は暇で退屈だからさ。」
とてもそうとは思わせないような目の輝かせ方をしながら彼女はそう言った。欲しかった玩具を長らく粘って説得し、やっと買ってもらえるようになった子供のように。
それでも僕は彼女の言ったことに反対する理由もないので取り敢えず何か言ってみることにした。
「不思議なことというか、単なる疑問なんだが、上の方にあるDAYカウントって一体なんなんだ?」
この聞き方では本当にただの疑問であるが、少なくとも僕にとってはこれぞという不思議なものである。
「確かにそれは疑問だ。それ以外のなんでもない。まあ、あれは存在自体が不思議に思えるものだからね。仕方がないよ。そして僕もあれについては良く知らないんだ。」
彼女に知らないことがあったなんて驚きである。彼女も人間なのだから知らないことがないほうがそれこそ不思議なのだが、なにか彼女はなんでも知っていそうなそういう雰囲気がある。
それはそうと不思議をを探すためにとうとう、ついに彼女がこの住処から外に出るのかと思ったら、
「じゃあ、不思議なことを見つけたら教えてくれ。」
と言われた。彼女は外に出る気は全く無いらしい。他力本願も良いとこだ。
見つけたら教えてくれと言われてもすぐに見つけられるわけもないもない。そもそも不思議に思うのはそのときだけの話であって、継続して不思議に思う、不思議に思い続けるなんてことは少ないからだ。というか僕はいつのまにかそんなこと忘れている。しかし、何も見つかっていないまま彼女のところへは行きづらいので、僕は数少ない友人に電話をかけてみることにした。彼はそういうことを知っていそうなのだ。
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