Day1 「わたし」

「わたし」は今、ここに生まれた。

 目の前には「私」がいる。

 そう、「わたし」は死んだのだ。

「私」は「わたし」だが「わたし」ではない別の「私」なのだ。


 それが分かったとき、世界は白以外の“何か”が存在するわけではない世界になっていた。


 生まれ変わりはあるのだろうか?

 あるのだとすれば「わたし」のそれは「私」だ。

 では「わたし」とはなんなのか?

 いつのまにか世界には色が付き、物があり、生命はなく、音もなくなっていた。

 一人だけの世界。

 邪魔の存在しない世界。

 誰も何も言わない世界。

 面白さも、楽しさも、空しさも、虚しさも無い世界。


“こんな世界はいやだ”


 そう思った瞬間「わたし」は「私」になっていた。


「わたし」が「私」になった理由は何だろう?

 そこまでしなければならない理由があった筈なのに。



 分からない…

 分からない…

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