第2話 第一試験・壁

「ちょっと出かけるから」


「どこ行くの?」


「学校。屋上で星を見るんだよ」


「懐かしいわね。母さんも学生の頃にやったわ。

夜の学校ってドキドキするのよね。

行ってらっしゃい」


全員「行ってきます」


23時校舎前


「皆様、お越し下さりありがとうございます」


声だけが聞こえる


「これより、試験を開始致します。

教室で行われる最終試験でこの試験は終了となります。

尚、試験中の破壊行為等は禁止とします。

試験終了まで会場からは出ることは出来ませんのでご了承ください。

それでは…第一試験開始」


詳細を聞かされないまま一方的に試験は開始された


「は? これ結局何の試験なんだよ? 」


「最後まで教えないつもりだろうな」


「 なんか透明な壁で本当に出られなくなってるみたい…」


「マジかよ」


「やるしかないみたいだね」


「やるって言っても何をすればいいかもわからないのにどうするの?」


「ちゃんと聞いてなかったのか?

この試験は教室で行われる最終試験で終了ってことは1Aの教室に行けば良いってことだろ。」


「今、外にいる時点で第一試験が始められたことを考えると中に入ってから教室に着くまでが第二試験かな?」「説明は良いけど、急がねぇとヤバそうだぜ。

スマホに時間が表示されてる。

第一試験終了まであと12分」


「そうだな。急ごう」


「どこから入れるかな?」


「たぶん屋上の鍵は開いてると思う。

授業サボるために一度開けてから閉められてないの」


「 舞彩、今日もサボってただろ」


「だって、つまんないんだもん」


「まぁ、俺も人のこと言えないけどな」


「じゃあ、始めるか」


「よじ登るしかねぇな。

俺、先行くわ。皆のカバンも持ってってやるよ」


「ありがとう。手本見せてくれよ!」


「了解!」


そう言うと同時に簡単なゲームのように登り始める


「こんな感じだ」


大翔は既に屋上に立っている


「俺たちも行くぞ!」


優磨・舞彩「うん!」


順調に登っていく


「あっ!!」


「舞彩!」


「大丈…夫…?」


優磨の苦しそうな声

二人を助けに…


「俺が行く!」


「一人で大丈夫か!?」


「大丈夫だ!信はそのまま上がれ!」


「任せたぞ!」


屋上に着いた

大翔たちも少し遅れて屋上に着く


「流石、レスキュー隊志望だな」


「大したことねぇよ」


「ごめんね。私、また迷惑かけちゃったね…」


「また?」


「うん…。試験が始まってすぐの時も説明聞いてなかったせいで時間使わせちゃったから」


「その事か。流石に今のは一瞬焦ったけど。な?」


「手、届いて良かったぁ」


「活躍の場作ってくれてサンキューな!」


「大翔は目立ちたがりなとこあるよなww」


「結果的にそうなっただけだっつーの!」


「フフ…みんな、ありがと」


「やっと笑ったな。舞彩、緊張してたんだろ?」


「…わかってたの?」


「いつもならしないようなミスしてたし、表情固かったからな。とりあえず、中に入ろうか」


鍵が閉まっている


「何で!?」


「長期休業に入ったからかな?」


「どうしよう…もう時間が…」


舞彩の表情からまた笑顔が消えた


「大丈夫だよ。

言っただろ、サボることに関しては人のこと言えないって」


カチッ


「鍵…どうして?」


「いつか閉められた時のために自作したんだよ」


(なんだろう、信也の言葉はいつも…温かい。)


「流石、カウンセラー志望!」


「関係無いだろ」


中に入る


「第一試験終了。

10分後、第二試験を開始します。

尚、他の場所への移動は禁止となります」

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