Re.ゲイン

月夜 美穂

第1話 通知

人間は一度満ち足りてしまうと

大切なものが離れていっても気づけない

それが最も

怖いのかもしれない


高校1年の冬休み前日

進路課題として、将来の夢がテーマの作文が出された

俺の夢は、心理カウンセラーと決まっている

あの時から……


「それでは解散」


「今日は信の家だな」


「明日から冬休みだし、今日は信也の家に泊まって宿題片付けちゃう?」


「得意教科で分けて協力してやればすぐ終わるしね!」


「おい、勝手に決めるなよ」


「だって、お前断らねーだろ?」


「それとも、初めて断る?」


「……いや」


「じゃあ決まりだな!」


「家から出るとき連絡する?」


「しなくていいよ。

もし、俺と大翔が家に居なくても、いつもみたいに勝手に入ってて良い」


「わかった!」


「大翔は少しゆっくり来いよ。お前か急いで来ると俺が着替え終わってないかもしれないからな」


「わかったよ。信は着替えるの遅いからなぁ」


「お前みたいに制服ベッドに置きっぱなしとかしてないからなっ!」


「ったく、几帳面過ぎだろ」


「お前が、雑なんだよ。

優磨、舞彩、そろそろ行かないとバス乗り遅れるんじゃないか?」


「ほんとだ!」「じゃあ、後でね」


「俺たちも帰るか」



帰り道、スマホに通知がきた。それを確認しようとスマホを取り出すと、画面に大きく白い文字で

<試験>と書かれていた


信也・大翔「試験?」


「え、お前もか?」


「あぁ」


~星願高校1年A組成績上位者4名の皆様~


今宵、23時

貴校にて試験を実施致します。

お越し下さいますようお願い申し上げます。


「なんだこれ?」


「わからない。

成績上位者4名ってことは優磨と舞彩にも来てるだろうけど」


舞彩から電話だ。


「二人にも来たよね?試験の通知」


「ああ、やっぱりそっちもか」


「みんな集まるからその時に相談だね」


「そうだな。 出来るだけ早く集まろう。

けど、焦らなくて良いからな。」


「うん。

じゃあ、後でね」


電話が切れ、ちょうど家に着いた


「カバン持っていってやるよ」


「おっ、サンキュー!」


「ただいまー」


「おかえり。

今日、みんな来る日でしょ?」


「そうだよ。

明日から冬休みだから、家にみんな泊まることになったんだけど良いよな?」


「構わないわよ」


「夕飯どうするの?」


「コンビニで買ってくるから気にしなくていいよ」


「わかったわ。

出かける時は一言言ってね」


「わかってる」


言いながら階段を登り、カバンを置いてすぐに着替える


「お邪魔しまーす」


「先に課題始めようぜ?

まだあいつら来るまで時間あるだろ」


「そうだな。

数学やってやるよ」


「じゃ、国語は俺が」


一時間半後


優磨・舞彩「お邪魔します」


「早くね?」


「送ってもらったんじゃないか?」


「お待たせ!」


「車か?」


「うん、お母さんに送ってもらった…」


「舞彩のお母さん相変わらずスリリングな運

転だね…ある意味疲れたよ」


「自分で頼んどいて悪いけど、思い出したくない…」


「だから焦らなくて良いって言ったんだけどな。

集まったし、相談始めるか。

あの通知にあった試験本当にあると思うか?」


「僕はあると思うよ。

今日は定時退勤日のはずだから学校に先生達も居なくなる。計画性のある通知だと思う」


「だとしたら、何の試験で何で俺たちが選ばれたんだ?」


「………………。」


「考えてもしかたねぇな。

とりあえず、行ってみようぜ?」


「遅い時間で、人目につかない日を選んで通知が来てる。何かに巻き込まれるかもしれないんだぞ?」


「4人もいるし大丈夫だろ」


「案外面白かったりして…」


「なんかワクワクするよね!」


「みんな安直過ぎないか?」


「怪しいと思ったら逃げれば良いんじゃない?」


「んー、、、」


「信也くんは興味無いの?」


「そういうわけじゃ…」


「普段のペーパーテストと‘違って’面白いかもしれないよ?」


「……わかった、行こう!

そうと決まれば課題終わらせるぞ!」


「おう!」


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