これからも・・・いつまでも・・・
勝利だギューちゃん
第1話
「やあ、元気」
「何とかね」
「君は、すっかりおじさんだね」
「君は、変わらないね」
「私は、もうこの世の住人じゃないからね」
そう彼女は、死んでいる。
40年前の年明けに、病気で亡くなった。
高校2年生だった。
未来は希望に満ちていたはずなのに、神様は残酷な事をする。
かくいう僕も、病気になってしまい、もう長くない。
生前彼女から、よく言われていた。
「一日を大切に」と・・・
僕は、1日1日を大切にした。
昨日の事は、昨日に置いていく。
今日の事は、明日に持っていかない。
それを、モットーにしていた。
一生は短い。
気がついたら、この歳になっていた。
結婚はしていない。子供もいない。
でも、それに後悔はない。
ただ、ひとつだけ後悔していることがある・・・
「君が来たということは、お迎えかな・・・」
「うん。その通り」
「そっか・・・」
僕はため息をついた。
「そろそろ行く」
「そうだな・・・」
「未練はない。」
「ないと言えば、ウソになる。でも、悔いはない」
「私との約束を、守ってくれたね」
「ああ。僕がただひとり、愛した人だからね」
「ありがとう」
彼女は手を差し出す。
その手を、握る。
「向こうは楽しいかい?」
「それは、君次第だね」
「そっか・・・」
あの世も、厳しいんだな・・・
「でも」
「でも?」
「向こうでは、私が君のそばにいるから、迷惑?」
「いや、大歓迎だ」
「ありがとう。じゃあ、行こう」
僕は、彼女のいる世界へと旅立った。
この世で果たせなかった夢を、あの世で叶えよう。
愛する彼女と共に・・・
これからも・・・いつまでも・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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