君を・もっと・知りたくて(3)
土曜日、約束の午前十時に駅前ロータリーに着くと、既に茅子と小永井と遠藤が待っていた。
「おす、おせーよ」
「時間ぴったりだぞ」
「五分前行動ですよ、五分前行動。遅刻した高山さんにはジュースを買ってきてもらいましょう」
遅刻じゃないのに。思ったが、ノリノリな小永井に反論するのも面倒なので、渉は素直にすぐそばのコンビニで人数分の飲み物を適当に選んで購入した。
三人のところに戻ると、青いスイフトが脇に停車して蓮見さんが降りてきた。
「お待たせ。川村くんはまだみたいね」
「蓮見さん、よろしくお願いします」
テンションが高いまま小永井が蓮見に挨拶する。茅子もつられて頭を下げていた。
スカートなことが多い小永井は、今日は細身のジーパン姿だった。蓮見さんも、ソフトジーンズのゆったりしたボトムにシンプルなTシャツを合わせていて、仕事のときと比べてぐっとカジュアルな装いだ。
そして茅子はといえば、クロップド丈のジャージにベージュのTシャツ、白いスニーカーにスポーツバッグを肩に斜めがけにしていて、まるで部活に行く高校生みたいだった。可愛いからいいけど。
そう、今日の彼女は髪型をポニーテールにしてメガネもなく、普段とは違う活動的な雰囲気がとてもとても可愛らしかったのだ。
「今日、コンタクト?」
「はい。おでかけ用にと思って、取っておいたんです。夏にメガネって、鼻に汗がたまってそれが嫌だったりしますし」
茅子は少し恥ずかしそうに胸元のショルダーストラップをいじりながら話す。もう、可愛いからなんでも許す。
そんな渉をよそに、遠藤が茅子の服装のことで余計なことを言ったりしないかと警戒もしたが、
「カヤコチャン、大正解だよ。涼しくて動きやすいのがいちばんだもん」
「うん。夕飯はバーベキューですもんね。あ、あたしはバーベキューのときには着替えますから」
「あ、なるほど。そうすればいいのか」
「いや。小永井は服に情熱がありすぎ!」
女性同士のフォローはさすがに素早い。渉も遠藤も口を挟まず車道の方を見る。
ロータリーを回って白いセレナが近づいてきた。運転しているのは川村で、助手席に清水が座っていた。
「待たせたな。若者たちよ」
休日のパパさんスタイルそのもので川村がサングラスをはずす。
「遅いよ、まったく」
「あ、蓮見さん、すみません」
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