第9話 プールからの帰り

 プールから出て駅に向かう道中、向日葵と私は隣同士で歩いていた。


「あーっ楽しかった」


 向日葵は背を伸ばしながら疲れを、取るようにそう言った。

 私は向日葵に返す言葉を、少し戸惑ってしまい「う、うん」とぎこちない返事をしてしまった。

 すると向日葵は顔を私の前に持ってきて心配そうに喋りだした。


「葵どうしたの? あんまり楽しくなかった?」


「いや楽しかったんだけど、楽しかったんだけどさ」


 向日葵に大丈夫? という顔をされながら言葉を繋げる。


「百合さんが、帰ちゃって少し気持ちがね」


 その言葉を発すると自分自身の気持ちが、下がっていくのがひしひしと感じられた。

 すると向日葵は、なるほどねというように「はぁー」とため息をつくと私の肩に手をついた。


「あのね葵、お姉ちゃんが帰っただけで気持ちがへこんでたら、精神持たないよ」


 私が「でもー」と言うと向日葵は深くため息をついた。


「はぁーーわかった葵、今日このまま私の家泊まりに来なさい」


 私は思わず「え!?」と驚いてしまったが、すぐに冷静になり喋りだす。


「私は多分大丈夫だけど、その向日葵の家には許可取らなくて大丈夫なの?」


 それを聞いた向日葵は、手をひらひらさせていた。


「大丈夫大丈夫、私の家その辺ゆるいから」


 ホントに? と疑問に思いながらも、まぁ多分大丈夫だろうと勝手に納得して返事をする。


「まぁそれなら、泊まらせてもらおうかな」


 それを聞いた向日葵は満面の笑みで。


「了解!」


 とだけ呟き、話しているうちに駅についていたので、そのまま電車に乗っていく。

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