第5話 メッセージ

 家に帰った私は分かれ道での感情を引きづりながら、家のドアを開ける。


「ただいまー」

 と私は昨日よりも静かな声で呟きながら玄関に入っていく。


 するとちょうど玄関の前にいた大河が、驚いた表情を見せていた。


「お姉ちゃんなんでそんな暗い顔になってるの? 昨日はあんなにニヤついてたのに」


 私は大河に「色々とね」とだけ言い残し荷物を置きに自分の部屋に向かった、その時の大河の表情は、何かを言いたげな表情だった。

 荷物を置き終わった私は、お風呂に向かった。


 私はお風呂に浸かりながら、向日葵ひまわりのことを考える。

 あの時向日葵が何を言おうとしたのか、何が理由であんな悲しそうに笑っていたのか、私は考えても考えてもどれだけ考えようと答えはでなかった。

 そんなことを考えているうちにまた長く浸かっていたようで、外からお母さんの声が聞こえてきた。


「そろそろでなさい、葵ー」


 私は何も答えずにお風呂を上がり、リビングに向かう。

 リビングで私は一言も喋らずにご飯を食べ、食べ終わるとすぐにリビングから自分の部屋に向かう。

 部屋についた私はふとスマホの画面を見ると、一件のメッセージが届いていたメッセージを送ってきた相手は、百合さんだった。

 私は沈んでいた気持ちを少しだけ昇らせてメッセージを開く。


「こんばんは〜いきなり送ってごめんね、ちょっと聞きたいことあるんだけど今大丈夫?」


 メッセージにはそう書いてあった、文が送らてきた時刻が、私が部屋にスマホを置いてからの時刻だったので私は。


「今気づきました。気づくの遅れてごめんなさい、今からならいくらでもやりとりできますよ」


 私は気持ちが沈んでいるのを気づかせないために、頑張っていつもと同じようなテンション感で文を書いて、百合さんに送る。

 時間も結構空いたので、しばらくは返信はこないだろうと安心していると、ピコーンとスマホが鳴りメッセージがきたことを知らせる。

 私は少し驚きつつもメッセージを開く。


「突然送ったのは私のほうだから気にしなくていいよ〜、それじゃあ単刀直入に聞くね、さっき二人で帰るとき何かあった?」


 その文を見て私は固まってしまった、ただ何か返さなきゃという気持ちで、なんとか正気に戻り「なんでですか?」と打ち込みメッセージを送る。

 するとまたもやすぐに返信が返ってくる。


「帰ってきた向日葵の表情がなんか、悲しそうなのに笑ってたから少し気になって」


 その文から百合さんの、向日葵を心配する感情がひしひしと感じられた。

 私は一文を書いて返信をした。


「ごめんなさい何があったかは言えません」


「どうして?」


 百合さんは止まらず返信をしてきてくれた。

 私もそれに答えるようにすぐに返信をしていく。


「ごめんなさいどうしても無理です」


「どうして? 理由は?」


 私は返信を書く指を一瞬止めてしまったが、すぐにもう一度指を動かし返信をする。


「理由は、理由は言えないです、ただこの問題は私と向日葵でちゃんと解決します」


 この文を送った後、少しの間返信が途絶えてしまったが、数分後ピコーンと鳴り返信が返ってきた。


「わかった、このことに関しては私はなるべく関わらないようにする、ただもし何か相談したいことが、あればいつでも聞いてきていいからね」


 百合さんの優しい部分が感じられる文に私は、すぐさま返信をする。


「ありがとうございます!」


 私はその一言だけを打って返信をした。

 これでやりとりは終わりだと思い、スマホを手から離そうとした時にピコーンと、またスマホが鳴っていた。

 急いでスマホの画面を見ると百合さんからの返信がきていた、私はなんだ? と思いメッセージを開く。


「それじゃあもう一つの本題いくよ、あの二人きりの時ホントに何もなかったの?」


 私はため息をつきながら返信をした。


「ホントに一切やましい気持ちなんてなかったですってば」


「ホントに?」


「ホントにです」


「あの時の向日葵の表情見た?」


「あの時の向日葵の表情? 見てないです」


「あの時向日葵まんざらでもないような感じだった気がするけどねー」


「多分気のせいだと思いますよ」


 私は向日葵のことを考えつつも、このやりとりを時間を忘れて楽しんでいた。

 ふと時間を見ると、もうそろそろ寝ないと朝起きれなくなる時間になりかけていた。

 私は百合さんに「そろそろ寝ます」と送るとすぐさま百合さんから「はーい」という返信が返ってきた。


 私は眠る前に向日葵に一つメッセージを送った。


「今日は色々ごめん、また明日」


 すると向日葵からもすぐに返信が返ってくる、さすが姉妹と思いつつメッセージを開く。


「葵は何も悪くないよ、気にしないでね。また明日」


 私はそのメッセージを見終わると、眼を瞑り眠りについていく。

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