第一章9 『クエスト報酬の使い道』
職員さんお勧めのクエストを無事に
完遂しギルドに戻り、報酬を受け取った。
チュパカブラ討伐の時ほどではないが、
市街地を守り切った特別報酬も追加され、
かなりの報酬を手に入れることができた。
日雇い労働は給料が安定しない代わりに
成功報酬が大きいのが良い。
生命の安全が保証されないという
大きなデメリットがある仕事ではあるが、
俺たちのように生産スキルの無い
人間にとっては生計を立てる上で、
とても助かる仕事である。
「いやー。それにしても前回の戦いはやばかったな。寄生系の敵はやっぱグロいな。個人的にはもう二度と御免したい感じだ」
「ボクはトラウマ。めっちゃグロかったにへぇ」
「クイーンとかいう寄生蜂はゴリアテの脊髄と癒着した状態で、頭蓋から出てきたから半端なくえぐかった。あの気持ち悪さはもうR-18ですわ……」
「寄生クリーチャーは外見の気持ち悪さもそうですが、寄生された宿主の行動パターンが読みづらいのが厄介デス」
「確かにな。思考が読めないから、闘いずらい相手だったぜ」
「寄生虫の思考を完全に読み切ることが出来ればソレイユの魔法で一気に片づけることが出来る敵でした。……ワタシの力が一歩足りずにごめんデス」
「寄生虫にまともな思考能力があるのか微妙。ボクはもーあのグログロの相手はしたくないにへぇ~。神様もなんであんなグロい生物を作ったのか謎にへ」
「でも。マスターの判断のおかげで街の住民をを救えたのは本当に良かったデスッ。あと1時間遅れて到着していればあの街は寄生蜂の新たなコロニーにされていたデス」
「いやいや。それを言うなら全てギルドの職員さんのおかげだよ。あの職員さんが、早めに討伐に向かうように進めてくれたから俺も従ったまでだよ。やっぱり亀の甲より年の劫だな」
「もし、1時間遅れていたら、寄生された住人達を相手とした、大規模殲滅が必要になっていたデスッ……。災害を未然に防げたのはマスターのおかげデスッ。誇ってくださいッ」
「年長者の言うことはやっぱり素直に聞いとくべきだなと今回の件で思ったよ。あのおっちゃんも、伊達に何十年もギルドの仕事を斡旋しているわけではない、言語化できない勘のようなものもあるのだろうな」
「にっっへへ。いまだに下っ端冒険者の相手をしている現場職をしているあたり、あのおっちゃんは出世コースからは外れているんだろうけど、その分長く現場にいるから、勘は蓄積されているのかもしれんにへぇ」
「ちょっとうだつが上がらない感じデスが、きっと悪い人ではないデス」
「そうだな。俺たちが頑張って少しでもあの職員さんの給料が増えるように頑張ろうか」
「オー」
「にへぇ」
「それにしても、いままで報酬もらうために討伐対象を始末していただけだけど、よくよく考えたら俺たちの仕事って責任重大だよな。今回の仕事も、少し俺たちの到着が遅れただけで大惨事になっていた可能性もあったわけだし」
「そうデスね。ギルドは依頼主からカナリの対価を貰っているせいで、あんまり感謝されるコトはナイですが、依頼主がどう思うかは関係ナク、ワタシ達の仕事が重要であることは疑いありまセン。手の届く範囲での人命救助は優先すべきデス」
「そうだな。ロボ子の言う通りだ。例えば
「はえ~。ボクたち責任重大にへぇ。依頼の失敗は許されないにへぇ。特にボクは一度魔法ミスったらリキャストまでに時間が掛かるからより一層責任重大にへぇ」
「はっはっは。俺らの他にも日雇い労働者は大勢いるからロリ助はそう気張らなくて宜しい。だけど、仕事に対するその責任感の持ち方はグッドだ! そうだなやるからには必ず成功させようという気概は重要だ」
「むぅ……無職がなんか言ってるにへぇ~」
「おいロリ助、訂正しろ。元な? 元・無職。今はめっちゃ働いてるからな? まあ、だけどロリ助の言う事も最もだよ。そうだな。俺たちは絶対に負けてはいけないということが理解できたのは大きな収穫だ」
ちょっと重い話題が続いたので、
軽めの話題をとカグラはみんなの
報酬の使い道について話を振った。
「それでお前たちは今回もらった報奨金で何を買ったんだ?」
「ボクは有栖&牌烈のロリータ服の最新作買ったにへ。パステルブルーの森ガール風のワンピースでかわいいにへぇ~。スカートのフリルのところに小さく刺繍されている、眼帯を付けたちょい悪時計うさぎがお洒落ポイントにへ。超お気に入りにへ」
「確かにロリ助に似合っているな。かわいいぞ。褒めてつかわそう。わっはっはっは。なんとなく不思議の国のアリスの女の子が着ていた服みたいだな。ところで能力はどんな感じなんだ?」
「詠唱時間短縮、魔法威力アップ、美肌効果アップにへ」
「いたってオーソドックスなタイプの効果だな。それにしても美肌効果アップって凄いな。気のせいかもしれないけど確かにロリ助がいつもより肌艶が良い気がする。ロボ子は何か買ったのか?」
「FNP93カスタムモデルデス。アンドロイドキャラとしては、やっぱりそれに相応しい形状のマシンガンを持っていた方が良いと思いまシテ………実用を兼ねたお洒落武器です」
「ロボ子は相変わらず真面目だな。女の子なんだから服とかアクセサリーとかは買わなかったのか? お前も興味ないわけじゃないんだろ?」
「新兵器購入にお金を使い果たして、買えませんでシタッ……残念デスッ」
「そんなことだろうと思って俺が買っておいてやったよ。射撃制度アップの効果付きのメタリックバングルだ。アンドロイドキャラとしてはやっぱこういうメタリックなアクセサリーが良かろうと思ってな」
「あ……ありがとうございマスッ……」
「むー。ご主人様。ボクの分のプレゼントはー」
「ほれ。この前欲しがっていた眼帯うさぎのキャラがプリントされた髪留めだ。集中力アップの特性付だ」
「え………あっ…嘘っ…ありがとうにへ……」
ソレイユは自分の分のプレゼントは、
どうせないと思っていたようで、
嬉しいけど恥ずかしいという感じの
リアクションである。かわいいやつめ。
「トコロデ、マスターは何か買わなかったんデスか?」
「いや、俺も買ったぜ。マシムラで下着のバーゲンセールやってたから、ボクサーパンツを買いあさったぞ。全ボクサーパンツは吸尿効果大の特性付き。まあ、男のお漏らしに喜ぶ人間はそうそういないだろうと思ったから、イザという時のために買っておいた」
「吸尿効果大って……もう完全に要介護レベルのおっさんにへぇ」
「ぶっちゃけ男物の安い下着についてくるおまけ効果なんてそんなもんだぞ? 特性がついているだけでも十分だ」
「確かにワタシもマスターのお漏らしシーンはあんまり見たくないかもしれまセン。マスターの言い方では女性のお漏らしには需要があるように聞こえたのですが気のせいでショウカ?」
「そうだな。俺としては可能であれば3話以内に漏らして欲しいね」
「駄目だ……こいつ何とかしないと……にへぇ」
「HENTAIデスッ」
「まあ、冗談はともかくとしてだ。一定の需要があったのはマジだぜ。性癖っていうのは空の様に広くて、海の様に深いんだ。まぁ、法の範囲であればだれがどんな性癖をもっていようが問題ないというのが俺の持論だ」
「世の中は広いにへぇ」
いつも通り内容の無い雑談をしながら、
クレープ屋でだべりながら一日が過ぎようとしている。
こういう何気ないコミュニケーションがきっと重要なんだろうな。
――転生前の俺ができていなかったことだ。
明日は3人でギルドに行く約束をしている日だ。
次回はもうちょい安全度が高いクエストを
受注したいと思うカグラであった。
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