4-2

「シール店長。座敷の席空いてますか。」


「空いてるよ、好きに座りな。」


支度を終えた司書とブレイクは天蘭でお食事会をする事にした。卓に着くや否やメニューとにらめっこする司書である。


「じゃあ私、ラーメン大盛煮卵トッピングニンニクたっぷり乗せとご飯の大盛と、餃子と唐揚げください。」


「俺はラーメン大盛ネギトッピングとご飯の中盛。」


「あれ?ブレイクさんサイドメニュー食べないんですか?私だけ頼んで申し訳ありませんね。」


ブレイクは驚いた。その体のどこにそれだけの量が入るのだ。というかそのサイドは分ける用ではなかったのかと。久しぶりに司書に会ったブレイクであるが図書館での司書の姿とは解離し過ぎてドッペルゲンガーではないのかと勘違いしそうであった。


その様子を見たシール店長は水を渡すがてらにブレイクを諭すような目で見る。分かるぞ、その気持ち。だけどこの子は食べるんだ。二人はこの時、心が通じあったのだ。


男達の心が通じあったのを知らない司書はシール店長が厨房に戻るのを確認するとラベンダの悩みを説明した。


「―――つまりはその人が二人の異性に言い寄られていて、どちらを選べばいいか分からないと相談された訳か。」


「そうです。その二人は同じ職場らしくて二人の中が悪くなることを心配しているのだそうです。」


料理を待つ間に司書が事情を話す。ブレイクにはある答えが出ていたのだが司書にいくつか質問をする事にした。


「その二人については職場が同じこと以外聞いていないのか?」


「聞いてないですね。ですがお金持ちなのは分かりますよ。彼女の職場はそれなりに敷居が高いところですから。」


そう答えた後で司書は先に運ばれてきた唐揚げと餃子を一つずつ摘まんだ。摘まんだ後に司書は何かに気づき申し訳なさそうに頭を下げる。


「気にしなくていい。時機に私のものも来るだろう。」


ブレイクは笑いを堪えながらフォローした。人は一度会っただけでは分からないものだな。当然のことをブレイクは思った。




さてどうすればよいものかとブレイクは考える。この男はついこの間コミュニケーションの本を借りにきたほど人との関わりが薄い男だ。


恋愛は夢見ているが夢を見ているだけである。そんなブレイクに恋愛相談する司書も司書だが何の相談か聞かなかったブレイクにも否がある。


「本人の意思を尊重するのが一番じゃあないのか。」


ブレイクはとりあえず当たり障りのない回答をした。

チェリーには難しい相談であったのだ。


「ぶっぶー、残念不正解でーす。

正解は『それが本当の話なら人が多いところではしないはずだ。君はからかわれているんだよ。そんなことより今日は遅いから俺の家で休まないかい?大切な大剣を見せてあげるよ』でした!」


座敷の襖がガバッと開けられると同時に捲し立てられる。ブレイクは襖が開かれようとした瞬間に腰の短剣に手を掛けていた。


司書はあまりにも突然の出来事に驚いて声も上げられずに固まっていた。


そしてシール店長はラーメンを運んで来たはいいものの状況がわからず

「ここに置いときますね。」

と邪魔にならないようにしれっとラーメンを置くことしか出来なかった。

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図書館の司書さん おぶち @obuchibuchi

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