3-7
戻ってきた司書はひとつの本を抱えていた。
「これならどうですか。」
司書は笑顔でゼブラに話しかけた。
「なんだこれは。」
ゼブラはその本のタイトルを見て疑問に思う。「コマーシャルメッセージのすすめ」
本のタイトルは見慣れない言葉であった。
「亜人の方が2年前に書いた本で新たな宣伝方法を分かりやすく説明している本です。まあ、紙は高価ですし余り広まらなかったのですが。ブレイクさんや他の商店の人達と協力すれば上手くいくかなぁって思いまして。」
ゼブラはとりあえず、その本を借りていくことにした。本の専門家が言うのだから間違いではないだろう。何かのきっかけになればいいと思っていた。
手続きを済ませてゼブラは図書館を去った。司書が満足そうに見送っていると人だかりの一人が話しかけてきた。
「ずいぶんと手間取っていたじゃあないですか、司書さん。」
「ラベンダさん。そうですね、ちょっと難しい悩みでした。」
ラベンダと呼ばれる女性の言葉に素直に答える司書。
「でも、きっかけを与えられてよかったです。後は商店街の皆さん次第です。」
司書はにっこり笑って業務に戻った。
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