3-6
「―――ってことなんだよ。」
悩みを打ち明けたのか、愚痴を言ったのか分からない内容をゼブラは話した。内容については割愛しておく。
「そうでしたか。それは大変なことですね。」
司書は要点以外は聞き流していた。かれこれ10分は経っていた。そうするのも無理はないだろう。
「それで、何かいいアイディアは生まれましたか。」
「それが全然なんだよなぁ。仕入れは家畜以外はほとんど冒険者頼みだ。魔物の肉は意外と売れるから組合の奴等は本当に良いことをしてくれた。」
このゼブラの答えはもちろん皮肉だ。それを司書はしっかり汲み取った。
「なら家畜を全面的に売ればいいのでは。」
「家畜が毎日来てくれたら嬉しいが生憎量は限られている。家畜だけではやっていけない。」
司書は言葉を詰まらせる。司書は家畜の肉が大好きだからだ。魔物の肉にはない脂身がたまらない。毎回沢山家畜の肉を買う司書はゼブラにしてみればいい迷惑なのではないのか。
「そう心配そうな顔するな。全体的に売上が落ちているからお前さんは寧ろいい客だよ。」
「そうですか。」とほっと息をついた司書。いつもの人だかりは珍しく苦戦している司書に暖かい目で応援していた。他の利用者や職員には迷惑きわまりないのであるが。
「ブレイクにも心配されているし早くどうにかしねぇとな。」
「ブレイクさんと知り合いなんですか。」
司書はその言葉を言うとすぐにどっかに行ってしまった。
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