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「これは?」
「サイドメニューのレシピ本ですね。貴方がどの料理を作っているかは私には分かりませんが、メインが思い付かなかったらサイドを考えてみたらいいかと思いまして。......やっぱりメインの方が良かったでしょうか。」
シール店長は黙る。そういえば店で出しているのはラーメンだけだ。メインの他にサイドを出すのはどの店でもしている。師匠の店でもラーメンしか出していないから失念していた。
シール店長の為に断って置くがレストラン市場でラーメン一筋で戦っていけたのはシール店長の腕があってこそのものだ。普通ならとっくの昔に潰れていただろう。その点で考えるとシール店長はとても優秀な料理人である。
閑話休題。黙ったままのシール店長を見て司書はあたふたしていた。もちろん顔には出さない。やっぱり駄目だよなぁと思い本を直そうとした。
「待ってくれ。この本を借りよう。」
今度はシール店長が司書を引き留めた。
「何か思い付くかもしれない。手続きをしてくれ。」
「かしこまりました。」
司書はほっと一息ついてカウンターへシール店長をつれていった。『引き立てるお供のレシピ』は2週間、シール店長の元に貸し出された。
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