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シール店長は図書館に向かう。いつもの半袖姿ではない。もちろん、春先の寒さが残っているということもあるが、元々お洒落な服を着たがる人間だった。それだけだ。


50銅イェンを払って館内をうろつく。料理人にとって本は非常に馴染み深いものだ。先人の知識や発見は大事なものであり、弟子入り前は良く図書館で研究を重ねていた。


しかし、ラーメンはこの世界の料理の歴史と比べて日が浅い。本を漁るよりも現場で修行した方が良いとシール店長は考えていた。


とはいえ、どの料理本を見ても中々アイディアは浮かばない。本に載っているラーメンに合いそうな具材はもう試した。シール店長は元々優秀な料理人であった。


噂の司書らしき人物はカウンターの人だかりに埋もれている。出直そうか。そう想いシール店長は席をたった。


「あの、お探しの本は見つかりませんでしたか。」


席を立ったシール店長の元に噂の司書が早歩きをしながらやって来た。

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