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シール店長は悩んでいた。異世界料理ブームもいつの間にか落ち着きを見せた。いくら美味しくても何度も食べれば人間だったら飽きる。


折角亜人の師匠に弟子入りして暖簾分けまでして頂いた手前三年も持たずに店を潰すのは師匠の顔に泥を塗ることになる。


しかし、変わらない味で勝負出来るのは一流の店でしか出来ない。自分のようなぽっと出の料理人には難しい。修行したとは言えどたかが五年である。その程度でこの食堂市場で勝ち残れるほど甘くはない。


シール店長もそれは分かっていたし、努力はした。しかし、師匠のラーメンはシール店長の原点だ。いくら新商品の試作を作ろうが美味しくないと感じる。シール店長は味の迷宮に囚われていた。


そんな時に図書館の話をシール店長は聞いた

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