第6話

 柱は床とは材質が違うようでしっかりとした硬さを感じる

 段差の淵を歩いても崩れる気配は無いし、手で掴んでも岩を掴んでいるような強固な一体感がある

 おかげで登る時に足元を気にする必要が無いのはありがたい


 登る、ひたすら登る

 そんなに鍛えていたつもりは無いが不思議と疲れを感じない

 ただ、まあ空腹と睡眠欲求には逆らえなかったのでその都度休憩は挟んだ

 寝ている間に柱から転がり落ちないかが心配だったが結構寝相が良かったようで問題なく目覚めることが出来た


 その後、途中何箇所か割れ目のような部分があり、そこを飛び越えながら登っていくと、とうとう頭上のブロックの境目が近づいてきた

 途中で登れる場所が無くなって引き返す可能性も有ったことを考えれば凄く運が良かったのではなかろうか

 ちなみに登山道のように整備された道を登っているわけでは無いのでスタート地点の洞窟からどの程度ずれたかは分からない


 なんでそんなことが気になったかというと…

 そこから先は色が違うブロックに接している所為ではっきりと境目がわかる

 触れて良い物か分からなかったが、その色違いのブロック、その直ぐ先に気になるものが見えているのでどうしてもこの先に進んでみたい

 気になるもの、下にもあった洞窟と同じような塔に大して垂直に開いた穴がここにもあるのだ


 角度的にこの位置から洞窟の中を知ることは出来ない

 中に何があるのか…いや、何が居るのか確かめて見たい

 予想だが、穴の中には誘拐犯と同じような存在が居るんじゃないか?

 もし、そいつが俺と会話できる存在なら今度こそ色々と情報を仕入れたいと思っている

 まあ、居れば。 の話しだが


 なので、逸る気持ちを抑えながらブロックの天井に触れてみた

 地面(?)に触れたときと同じような感触で天井に触れることが出来る

 つまり、下と同じようにむしりとることも出来るわけだ

 試しに自分ひとりが通れる程度の穴を開けようと思い、どんどんむしっていく

半透明の境界はどの程度の厚さが有るのか良くわからなかったが、掘ること自体は簡単に掘る事が出来た

 むしりとった残骸(?)は塔の下に向けてそのまま投げ捨てた

 だって、足元に積み上げた所為でそこにくっつかれて盛り上がったりしたら邪魔だろう?

 そうやって無心に掘り続けることしばし、ようやく隣のブロックへと穴が繋がった


 不思議な事に穴が貫通してもお互いのブロックの中身が混じったりはしないようだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る