第3話

 現実逃避して暗い洞窟の中で眠った俺は目覚めても状況が好転して無いことを理解した


 まあ、何も行動起こして無いんだから当たり前だよね


 洞窟の外は相変わらず明るいようで出口からは光が見える。 何時間寝ていたのかは分からないがここには朝昼晩という日照の変化は無いのだろうか?

 まだ過ごした時間が短いので判断できないがその可能性もありそうだ


 とりあえず、誘拐犯が居た辺りに何か手がかり(?)が残って無いか調べてみる事にした。 腹減った


 明かりが無いので手探りになったが四つんばいになって漫画とかでよくあるコンタクトレンズを探す人のような仕草で床面を手で撫でていく

 突撃銃は邪魔になるので今は背中側に背負っている


 うーん、明かりが欲しい

 でも、火をつける道具も燃える物も無い

 服は有るがまさかこれを燃やすわけには行かない

 銃を撃ちつづければマズルフラッシュで明かりの代わりになるか? とも少し思ったが、 洞窟の壁で跳弾でもして死んだらあほらしいのでやめておいた


 暗闇の中手探りで探していたら幾つか地面以外の何かごろっとした物が手に触れる

 ビクっとしたが、暫く待っていても勝手に動いたりしない様子だったので探り当てたそれを集めて洞窟の出口に持って行き光にかざして確認して見た


 …これは何だろう?


 半透明の膜に包まれたピンク色でゼリー状の見た目のチューブのような何か、熱等は発していない

 それは太さ1cm長さ20cm程度で6本あり、匂いをかいで見ると何故か美味しそうな匂いがする。 腹がぐうぅぅと鳴った

 俺の身体はこれを食い物と認識したようだ。 食うのか…? これを


 うーん、まだ決断できない


 ひとまず手に入れた6本のチューブは洞窟入り口に並べて置き、もう一度暗い洞窟の中に戻る

 よつんばいになり先ほどより更に奥へと手探りしながら向かう…


 体感で一時間ほど時間をかけて奥に向かって手探りで進む。 洞窟はまだまだ奥が有るようだが新しい収穫物は無かった

 そこで分かったことは、つまり、あの6本の何かは少し特別な物だということだ


 …もしかしたら誘拐犯が俺用に用意した食事だったのかもしれないな。 今となってはわからないが


 明かりを手に入れることが出来たら洞窟の奥がどうなっているのか調べてみたい気持ちも有るが、今の明かりの無い状況で、もし気付かないうちに分岐にでも入ってしまって戻ってこれなくなったらと考えると恐ろしくなった。 いまは洞窟の調査はここまでにしておこう

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