第4話側にいて
車に乗り込みコーヒーショップの包みを開ける。
そこには翔ちゃんのブラックコーヒーと私のハニーラテが入っていた。
翔ちゃんのブラックコーヒーはドリンクホルダーへ差し込み
「いただきまーす」とハニーラテを口へ運ぶ。
私の大好きな味にカスタマイズしてあるハニーラテ。
恐らく、この注文を覚えているのは彼だけだ。
そんな事を思いながら飲めばいつもの味がより一層美味しく感じる。
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幸せそうに助手席でラテを味わう横顔が数年前のあいつと重なった。
「翔ちゃん!彼氏できた!」
幾度となくその手の話はされてきたが紗奈も高校に上がってそーゆー事になるのは時間の問題だと焦りを感じた。
あの時は珍しくあいつから連絡が来て。
学校のそばのコーヒーショップに呼び出されたんだ。
「ねえ翔ちゃん。せっくすってきもちいい?」
まさかそんな単刀直入な事を聞かれると思っていなかった俺はコーヒーを吹き出しそうになった。
「は?それを俺にきいてどうすんの」
驚き過ぎた俺は思わず突き放すような事を言ってしまったんだ。
「そうだよね」ハハハと乾いた笑いの後
「ごめんね。変なこと聞いて」とバツが悪そうな顔で謝ってきた。
その後は他愛のない話をして、夕飯食べていくか?と誘ったが、
彼氏から連絡来たからと断られ確かその場で別れたなーと
そんな苦い思い出が蘇ってきた。
あの時俺が強引に夕食に誘っていたら何か変わっていたのだろうか。
物思いに耽っていると目的地に到着した。
「行くか」
そう告げると紗奈は笑顔で車を降りた。
昔は何度も来た海のそばの水族館。
免許を取って初めて紗奈を連れてきたのもここだった。
「久しぶりだねー」
「しばらく来てなかったもんな。」
その笑顔を守りたいと思って一体何年経っただろう。
その年数を表すかのように水族館は所々古びていた。
楽しい時間はあっという間にに過ぎて俺たちは浜辺に来ていた。
沈む夕日は綺麗なオレンジ色で
それを見つめる紗奈はいつのまにかすごく綺麗になっていた。
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