第22話  彼の行く末

「あら」

店主はレジカウンター近くに吊るしてあるランプの明かりが消えるのを目に捉えた。

「今回もダメだったのね」

彼女は数日前に地下の迷宮へと入って行った彼の姿を思い返す。

一見何一つ問題がなさそうだった彼。

何も問題がなさそうだからこそ、間違えたのかもしれない。

「よいしょっと」

彼女は釣り上げていたランプを下ろすと鍵を開ける。

中には一枚の紙切れ。

『出口までは後一歩』

その文言に彼女はああ。と納得する。

「一つ、部屋を見落としたのね……。

あの部屋にたどり着くにはどこかで招待状を受け取らなければいけないから……」

そう言って彼女は下ろしたランプをカウンターの上に置き、

中のろうそくを取り外す。

そのろうそくは、もうほとんど残っていなかった。

彼女はため息をつくと「準備中」の看板を扉にかけ、カーテンを閉め切った。

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ショートストーリー朗読シリーズ 藤森空音 @karaoto

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