第21話 最初の部屋
静かに地下につながる階段を降りる。
細く長いコンクリート打ちっ放しの狭い空間。ともすれば永遠とも感じられそうなその階段を下り切る。不意に目の前がひらけた。灰色の壁と部屋全体を照らす白い照明。僅かに温度の低いそこ。正面の壁にA4サイズの紙が一枚貼られ、その手前には台が一つ置かれていた。
『ようこそ。ここから先は誰の助けもない、一本道です。
ゴールを目指してください。
ゴールを目指してください。
物を壊さないでください。
落書きをしないでください。
飲食は指定されたエリア以外は禁止です。
部屋の外に物を持ち出してはいけません。
もう一度、ルールを確認してください。
それでは、始まります。』
そこまで読み終えると、部屋の温度が僅かに下がり、視界が悪くなる。コンクリート打ちっ放しの正方形の部屋。電気が明滅を始める。
揺らいだ視界を落ち着かせようとその場にしゃがみ込んだ。
視界の揺らぎはおさまらず、私は横になった。コンクリートの温度が低い。私は、薄らいだ意識の中で、照明が完全に消えるのを感じた。
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