第7話
遠くまで来た。ずっと遠くまで。
僕が生まれた星から、ずっと、ずっと遠く。
僕の生まれた宇宙の中で、僕は水中にいるようにふわふわと漂っている。
まるで、母親の胎内にでもいるかのような。
胎内の中は羊水で満たされているらしい。
それならば、宇宙はさながら僕らの母体で、僕らはまだ世界を見ぬ胎児か。
食糧も底を尽きてきた。
燃料も、残り4分の1を切ってしまった。
けれど、何となく、感じるんだ。
君に、もうすぐ出会えることを。
僕は今、海王星の近くを飛んでいる。
望遠鏡を覗く。遠くに伸びる流れ星のひとつ。
流れ星が流れる間に、3回願い事を唱えるなんて、それはあまりにも刹那過ぎて出来ない。
だからきっと、願い事が叶うなんてことを言うんだ。
燃料が切れてしまったら、このロケットは止まってしまう。
酸素供給装置も止まってしまう。
食糧がなくなってしまえば、僕はきっとお腹が減ってしまうだろう。
はやく、君に会いたいよ。
君に会ったら、話をして、あの時教えてもらった遊びをして。
それから、それから。
あぁ、地球に戻るなんてことは考えなくていいんだ。僕は君に会えればいい。
一目でも会って、また笑い合えたら、それで。
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