005~013 いつもと違う日常
005-♡02
川向こうの古い一軒家。あたしはそこで子どもの頃から世話になっている。
そこに住む老夫婦は、あたしを娘のように可愛がってくれた。たまに頭を撫でてくれるけど、今は主にあたしの子どもたちを孫のように可愛がっている。
今日、久しぶりにおばさんが抱いてくれた。あたしは、ここぞとばかりに思い切り甘えた。
老夫婦には、子どもがいない。
老夫婦と出会ったのは、寒い冬の日だった。あたしは、親に捨てられて町をさまよって行き倒れてたところをおばさんに拾われた。食べ物をもらい、ストーブの前で体を支えてもらい温まった。
翌朝になってもあたしは、ぐったりしていた。心配したおばさんは、あたしを病院に連れて行った。あたしはそこで、初めて注射をした。何を打ったかは分からなかったが、あたしはそのおかげで回復した。
この家にはあたしと同じように拾われ、救われた子たちがたくさんいる。そして旅立ち、どこかで生きている。
状況が厳しくて、出戻って来た子もいる。
あたしはここが心地いいから、ずっとここにいる。
なぜあたしが親に捨てられたのかは、大人になってから知った。教えてくれたのは、彼だった。彼は、遠くの街からやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます