005~013 いつもと違う日常

005-♡02

川向こうの古い一軒家。あたしはそこで子どもの頃から世話になっている。

そこに住む老夫婦は、あたしを娘のように可愛がってくれた。たまに頭を撫でてくれるけど、今は主にあたしの子どもたちを孫のように可愛がっている。

今日、久しぶりにおばさんが抱いてくれた。あたしは、ここぞとばかりに思い切り甘えた。


老夫婦には、子どもがいない。


老夫婦と出会ったのは、寒い冬の日だった。あたしは、親に捨てられて町をさまよって行き倒れてたところをおばさんに拾われた。食べ物をもらい、ストーブの前で体を支えてもらい温まった。

翌朝になってもあたしは、ぐったりしていた。心配したおばさんは、あたしを病院に連れて行った。あたしはそこで、初めて注射をした。何を打ったかは分からなかったが、あたしはそのおかげで回復した。


この家にはあたしと同じように拾われ、救われた子たちがたくさんいる。そして旅立ち、どこかで生きている。

状況が厳しくて、出戻って来た子もいる。

あたしはここが心地いいから、ずっとここにいる。


なぜあたしが親に捨てられたのかは、大人になってから知った。教えてくれたのは、彼だった。彼は、遠くの街からやってきた。

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