評価が知りたいのか、数字がほしいのか

 美容院に行ったところ、担当してくれた美容師さんと会計時にHot Pepperの口コミの話になり、

「い〜感じに書いてくださいね、い〜感じに。ひひっ」

と笑いながら繰り返し念押しされました。


 その日の施術も接客も特段悪いところはなかったけれど、かといって以前毎回指名していた美容師さん(現在は他店に異動)ほど素晴らしいというほどでもなく、何より臆面もなくそんなことを口にすること自体にうむむ……となってしまいました。


 Hot Pepper Beautyのサイトは★5段階評価で、いろいろ考えた末、オール★4評価を入れておきました。



 カクヨムユーザーさんでも、たまにSNS等で★くれ★くれと言っている方をお見かけすることがあります。


 自然な感情として、やっぱり★が集まれば嬉しいものです。

 たとえお義理の★でもたくさん集まれば見た目的には「評価のたくさん集まっている作品」ということになり、それをきっかけに自作に触れてもらえる動機になるから、という方針も、ひとつの戦略意識なのかもしれません。


 でも、ひどく空疎な気がしてしまう。

「うーん……作者が★がほしいらしいから入れておくか……まあ大満足したってわけじゃないけど……」などと読者さまにお気遣いさせるのは、自分なら耐え難いと感じてしまいます。

 何より、その時点でそれはもう「評価」として機能していないので。


 極論すれば、たとえば作品を最後まで読まずに入れられた★★★より、熟読した上で入れられた★や★★の方が読者の本当の声を反映しているわけです。けれど、前者の方を喜ぶ方もいるみたい。


 お義理でも忖度でも★さえ集まればいいのか、作品に対する本当の評価は知りたくないのかと、表現者として不思議に感じたりするのです。

 本当にほしいのは、作品に対する満足度の結晶なのか、単なる評価ツールの数字の上での「高評価」なのか、考えていきたいところです。


 カクヨムコンの読者投票期間はわたしも「ご満足度に応じて★評価をお願いします。作品トップページの目次の下にあります!」などと平素より多めに宣伝したりいたしますが、あくまで「ご満足度に応じて」の話でありまして。

 どうかけっして、余計なお気遣いはなさらないでくさいね。

 もちろん、通読いただいた上での★★★は飛び上がるほど嬉しいです。



 あの美容師さんを指名することはこの先も絶対ないな……と思う秋の日でした。

 でもあの台詞、小説に活かせそうだと思ったりもして。



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