第64話 予言
勇者パーティーのうちの魔法使いが、
「こんな
と言ってるのを聞いて、僕はS級冒険者の中に超巨大ファンクラブを持った魔法少女がいるという話を思い出す。
もしかしてこの少女がそのアイドル魔法少女なのだろうか?
多くの人が欲しても見ることが出来ないこの少女の裸を、今僕は見ているという事実だけで興奮する。よく目に焼き付けておこう。
「離せ! この変態魔王!」
と、もがきながら僕に向かって叫ぶ勇者に、お前は転生者か?と書かれた粘土板を見せる。
「……もしかして、お前もか?」
やっぱり。この勇者も転生者のようだ。
「お前もザァメンと同じクズか!」
と勇者は言う。こいつもザァメンを知っているのか。そしてあいつはクズだと僕も思う。
「転生して強くなったからって女性を
僕をザァメンと一緒にしてほしくないし、僕が童貞と決めつけないでほしい。童貞だけど。
僕は誤解を解くために、勇者にクソ魔法陣やチンカス教会の話をした。
「ふざけるな。この世界が少女に冷たい世界だとしても、お前もそのミーナという子に手を出している時点で、お前は加害者だ。他の男は少女に手を出してはいけないが、お前はいいのか? 随分と自分勝手なんだな。」
違う。僕はミーナのことが好きなだけだ。なぜそれだけで加害者だなんて呼ばれなくてはならないんだ?
「お前が本当にその子の事が好きだったとしても、もとの世界の基準ではお前はただのロリコンだ。ただの犯罪者だ。お前は異世界でその子を救ったという免罪符片手に、堂々と少女に手を出したいだけじゃないのか?」
――違う!
僕のミーナへの気持ちは、断じてそんなものではない!
「これだから童貞は。恋愛というものを神聖視し過ぎている。好きだというだけで全てが丸く収まると思ってる。言っとくけど私は、今はこんな姿だけど元はもっと大人だった。お前のようなエゴが肥大化したクソ童貞は腐るほど見てきたよ。」
どことは言わないが薄っすらと毛が生え始め、少女を卒業したばかりあろうという年齢の勇者はそう言った。
僕が言い返す言葉を考えていると、勇者は追い打ちをかけるように言う。
「お前もザァメンと同じように、自分より圧倒的に弱い存在しか好きになれないんだろ? もしくはそれの裏返しで圧倒的に強い女性しか好きになれないんだろ? よくある童貞のパターンだ。お前のようなカスのせいで、どれほどの少女がひどい目にあってきたのか分からないのか? 実際今もそうだろう。女を裸にして束縛しないと
そんなことない、と粘土板に書く。何について否定したのか自分でも分からないが、とにかく勇者の言葉を否定したかった。
「予言してやろう。近い将来、お前はミーナのことが嫌いになる。そんな童貞の過度な理想化は長続きしない。アイドルと一緒だ。」
と言い残して、勇者はノアの転移魔法で吹き飛ばされていった。
――近い将来、お前はミーナのことが嫌いになる。
その勇者の予言が、頭にこびりついて離れなかった。
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