第59話 探し物
芳香剤にこの20階建て大樹ハウスを60階建てぐらいに増築してよとお願いするけど、
「それができたら苦労しないわよ。」
と言われて終わる。前に部屋を増やせるって自慢げに言っていた気がするのだが、あれは僕の記憶違いか何かだろうか。
「でもまあ、そろそろ引っ越しましょう。」
そう言って芳香剤は、魔石がいくつも連なってアナルビーズのような形状をした杖をどこかから持ってくる。引っ越しって、大規模な転移魔法でも使うんだろうか?
「準備するから私が呼んだらきてちょうだい。魔力を貸して欲しいの。」
と芳香剤に言われた僕は、引っ越しするなら僕の部屋でも綺麗にしておくか、と考えて自分の部屋に戻る。
僕の部屋はトイレの中にある。というかトイレで、汲み取り式トイレの便槽だ。
中で魔道書とかを読んでいるとよく上からおしっこが降ってくる。慣れたものでもう何も気にならない。上を見上げるとたくさんいる少女のうちの誰かのお尻が太陽のように浮かんでいるだけだ。僕は日光浴よろしく全身におしっこを浴びて吸収する。
ミーナやクルルはお尻を見るだけで、あ、ミーナだと判別がつくが、他は結構難しい。おしっこを射出する角度や飛距離に特色がある女の子ならすぐにわかる。
芳香剤がこのトイレを使っているところは見たことないが、やっぱあそこまで美人になるとおしっことかしないのだろう。
部屋を掃除し終わって手持ち無沙汰となった僕はミーナを探す。
床に並ぶ眠り姫の真ん中で、とことこと歩き回るミーナを発見した。
「ミイナ」
僕は声をかける。
「あ、ドゥティ。どうしたの?」
それはこっちのセリフだ。ミーナはこんなところで歩き回って何をしているのだろうか?
「ミイナ、アイニキハ。ナニヒヘフノ?」
「……ん。お母さん、いるかなって。ちょっと探してみてたの。」
いないよね、あははと言ってミーナは笑うが、それが作り笑いであることは一目瞭然だ。
ミーナの正確な年齢は本人も知らないが、ミーナママは最低でも10年前にはミーナを生んだことだろう。
ミーナママがこの中にいるとすると、10年以上あのファッキン乱行部屋で過ごしていたことになる。そんなに体が持つだろうか?あのクソチンカス共は女性たちを最終的にどうしていたんだ?
だがそんなことは関係ない。それでも僕は、ミーナと一緒にママを探すのだ。少しでも可能性があるなら、探さないはずがない。寝顔だけ見てミーナと似ているかどうかを見極めるのは難しいが、穴があくほどミーナのことを見てきた僕ならできる。
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