第5章 魔王
第58話 溢れる
床一面に並んだ眠る女性たちはなかなか壮観で、あぁ、女性ってたくさんいるんだなと当たり前のことを僕は思う。
総勢544人。2週間ほどかけて、チンカス教会から救出した女性の数だ。
チンカス教会を潰すついでにウザ鳥に反応があったら子供もさらっていたので、子供の数も今では200人を超える。
さすがの大樹ハウスも既に定員オーバーで、大量の眠り姫と女の子、それから少々の男の子で、ミチミチのすし詰め状態だ。
お金の問題はチンカス教会が溜め込んだお金をちょろまかしてきたので、しばらくは大丈夫だろう。
今僕はクルルと一緒に眠り姫を綺麗に並べて省スペース化を
せっせと働く僕に、クルルが話しかけてきた。
「ねぇ、お兄さん。お兄さんの眼球みせてよ。お兄さんの体には触らないようにするから。」
眼球? 目として機能する球体のことか。僕は普段肩に置いているソフトボールほどの大きさの球体を一つ、すすすっと触手を伸ばしてクルルに差し出す。こんなものをみて何か面白いのだろうか。
「わー、固い。んー、ちょっと柔らかい?」
とクルルはぺたぺたと僕の眼球を触る。そして、
「えいっ」
と僕の眼球をスカートの中に突っ込んで股に挟んだ。
何か固いものに僕の眼球が当たっている気がするが、近すぎて見えない。
「動かないでね。このくらいのご褒美、もらってもいいでしょ?」
とクルルは言って、その固いようなぷにっとしたようなもので僕の眼球をツンツンとつつく。クルルの呼吸が、少しずつ荒くなる。どこからこんな妖艶さが出てくるんだ?
「ねぇ、お兄さんは、ボクに触りたい?」
僕は無意識のうちに頷いていた。クルルは嬉しいっと笑って、
「それは性欲? それともボクのことが好き?」
と言う。
僕はクルルのようにちんちんは生えてないから、性欲ではない。そうするとクルルに触りたい僕は、クルルのことが好きということになる。それはミーナへの好きとはどう違うんだろうか?
僕に性欲はない……と思っていたが、本当にそうなのだろうか?
例えば眠り姫たちは、ちんちん生えてないけど性欲が爆発していた。クスリのせいではあるが、ちんちんがなくても性欲があるケースとしては変わりない。
僕のクルルへの感情は性欲なのだろうか?
……ミーナへの感情は?
性欲と好きって何が違うんだ? 僕は違うと言いたい。
「ボクはどっちでも嬉しいけどね。」
とクルルが言う。
クルルが「んっ」と声を漏らしたかと思うと、僕の眼球に何か液体がぱたぱたと降りかかった。
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