第11話 ハンバーグ触手実験
それから僕は森の中のありとあらゆるものをハンバーグ触手で触りまくった。
何一つとして僕の体に吸収されるものはなかった。
念のため隣の街まで行って人間にも触りたい。行ったことはないがこういうものは道を延々と辿っていけば街につくものだ。余計な道なんてない。人が移動すべきところだけに道がある。
隣とはいえ相当離れていそうなので僕は高速移動モードで移動する。カサカサ。
隣の街は随分と賑わっていた。ミーナのいる村とは大違いだ。ゆっくりと観察したいものだがそれは今度だ。今は手頃な人間を探そう。
僕は街から少し離れたところで、ゴブリンを狩る冒険者パーティーを見つける。パーティーと言っても男戦士と女魔法使いの二人組だ。戦い方や装備から新人であろうことが伺える。
ゴブリン4匹相手に苦戦している様子だ。
僕は問答無用でハンバーグ触手を使ってゴブリンの頭を4つともポンポンと撥ねとばす。
新人冒険者たちは状況についていけず「え?」と言っているが、お構い無しに二人ともハンバーグ触手でぐるぐる巻きにする。
まあゴブリンも殺してあげたしこのくらいの実験に付き合ってもらってもバチは当たらないだろう。
何もとって食おうとしている訳ではないのだ。
男戦士は必死にもがいているが、大した力ではない。女魔法使いはキャー!と叫び声をあげた後、震えながらもなんらかの魔法の詠唱をしてる。なんて逞しいんだ。
今更であるがこの世界には魔法が存在する。いつか僕も使えるようになりたい。練習すれば誰でも使えるものなのだろうか?と女魔法使いの撃ったファイアボールをばかすかくらいながら考える。
当然ながら無傷だ。
しばらくハンバーグ触手で新人冒険者二人組をにぎにぎしていると女魔法使いは魔力が切れたのがぐったりし始めた。男戦士はまだもがいている。元気だな。
申し訳ないので女魔法使いは解放しよう。
女魔法使いを地面にそっと横たえ、男戦士だけをにぎにぎする。
そうして小一時間ほど人体実験した後、僕は二人に「ドァビヌチョ(ありがとう)」とお礼を言って立ち去った。
よし、人間も触れるぞ。
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