第15話 あなたの命。ぼくが貰います。 上
ゴブリンの死体が転がっていた。
そこに立って、何かを見下ろしているアルベルト。
4人は近づき、アルベルトが見下ろしているモノを見た。
そこには、まだ新しい狩猟者の死体があった。
ここだけではない、よく見るともう4体、その周辺に狩猟者の死体があった。
「…違うな」とインシュア。
チャ子は、ゴブリンと狩猟者の遺体を漁っていた。
テレニアは辺りを見渡している。
「…ったく、面倒な事を受けた…」とボソっと言葉にした。
「いいんじゃない、たまにこういうのも」と、テレニアが近付きながら言葉にした。
死体を漁っていたチャ子が、いきなり動きを止めて草原の向こうに目をやった。
そして、「あっ、ポッド!」と声を上げると、一目散に駆け出して行く。
チャ子が向かった方向へと視線を移すと、ポドリアンとグリフを先頭にして、荷馬車がこちらに向かって来た。
荷馬車には、男の人が馬の手綱を持ち、荷台には荷物が積んであり、その荷物には布を被せてあった。
その布の向こうから、女の人がこちらに手を振っていた。
ポドリアンとグリフは、レニィと言う神官を伴い、荷馬車の護衛の依頼を受けていたようだ。
この荷馬車は、朝、デルヘルムの街を出て、5キロほど離れた村に出向き、村の特産品を荷馬車に乗せて、午後にはデルヘルムへ向かって帰ってくるようだ。
毎週、月曜日と水曜日、金曜日に往復するらしい。
この依頼は、ギルド、パイオニアの指名依頼なのだそうだ。
最近、太り気味のポドリアンとグリフが専属で行っている。
「いやぁ~、奇遇だな。こんなところで会うとは!」とグリフが声をかけてきた。
「なんじゃ、もう終わったのか?」とポドリアンが、5人が来た方向を見て言葉にする。
その方向には、すでにハゲタカが舞い降りていた。
「見たかったな、アサトが華麗に太刀を振るところ!」とグリフ。
その言葉にちょっと照れる。
「なぁ~デブ髭。この先で何かなかったか?」とアルベルトが言葉にすると
「…何かって、何だ?」と答える
「…あぁ……」と返答に困るアルベルト。
すると「落武者の死体」とチャ子が、レニィと前に向かって、歩いてきながら言葉にした
「落ち武者?」とグリフが首を傾げる
「…あぁ…いや、何でもない。何も無かったらいいんだ、違うところを当たるよ」とアルベルトが言葉にして、ポドリアンとグリフらが進んで来た方向とは違う方向へと視線を向けた。
レニィがアサトの前に立つ
「お久しぶりです、アサトさん。」
少し背の低い…と言うか、アルベルトより、ちょっと低い身長の黒髪で、ショートボブの女の子が微笑みながら話しかけてきた。
「はい…?」と答える
「私は、レニィと言います。ひと月ほど前に、
「…あっ…ごめんなさい…」
…てか、こんな子と知り合いだったっけ?うぅ~ん、いつ…?。とちょっと考えた。
「…そうですよね、でも、忘れるなんてひどいです。一生懸命に治癒や体力回復したのに…」と頬を膨らませた。
治癒?体力回復…って…あぁ~~、思い出した。
「ごめんなさい、忘れていた。修行していたところに、テレニアさんと一緒に来た子たちの…」と言うと、レニィは大きく笑いながら頷いた。
そうである、と言うか、そう言うのも分からない位にあの時は、修行に打ち込んでいた…と言うか、毎日が大変だった…。
印象は…そんなに無いが…もう一人、金髪の女の子もいたような…
「あれぇ…もう一人いたと思うんだけど…」と言葉にすると
「はい、アイシャです。彼女は違う人たちとパーティー組んでいます、ここ何か月間かは、先輩たちのパーティーと共に、実地訓練しながら依頼をこなしているんですよ」と言葉にした
「…じゃ、きみは?パーティーに入ってないの?」と聞くと
「ハイ」と答える
「なんで?って、聞くのもなんだけど…」その問いに、少しだけ上を見ながら考えると
「…だって、ポッドさんやグリフさんと居た方が安全だし…」とお気楽に答えた。
その言葉に、二人はニカニカとおじさん特有のキモイ?笑みを浮かべていた
「おじさんたちは、それはそれで、嫌がっていた護衛の仕事もすすんでするんだ…ってサーシャさんが言っていたわ」とテレニア
あぁ~そう言う事ですね。年若い女の子を使っておじさんを使う。って、極悪?非道な商法なんですね…とアサトは思った。
「よかったら、今度デートしませんか?」とレニィが笑いながら言葉にする。
デートって…え、えぇ~~。
あの…異性と、手をつないだり、キスしたり…抱きしめあったり…、そして……あはぁ~~んなこともしたりするやつですか?
もちろん!最後までお供します(笑)
「アサト、俺たちのアイドル、レニィに手を出したら分かっているよな」とグリフがちょっと皺をよせて言葉にした。
「あ…はははは……」と、ちょっと困った顔をして見せる
「アサト、デートって何?」とチャ子が聞いて来た。
えぇ~~、ここでチャ子?
「…まぁ~~、そうだね。レニィさん。時間が会えば行きましょう」と答えると、レニィはニカッと笑みを浮かべて頷いた。
デートだぁ~~~~💛
「おぃクソガキ。そろそろ行くぞ」とアルベルトが言葉にすると、ポドリアンたちが来た方向と違う方へ進みだした。
「じゃぁ~、あとからお家に遊びに行きますね、チャ子ちゃんもまたねぇ~」とレニィが手を振っていた。
その手にアサトとチャ子が返す。すると
「…おぃ、アル」とポドリアンが太い声で、アルベルトを呼び止めた
その声に振り返る
「おまえの探し物は、俺たちが来た村にあるかもしれないぞ。」と言葉にした。
冷ややかな視線をポドリアンに移し、そして、瞳を閉じ、小さく息を吐くと、瞳を開けて、ゆっくりと荷馬車に戻り、ポドリアンたちが来た方向へと進む。
「…ったく、最初から言えよ」と憎まれ口をたたきながら、ポドリアンの前を通る。
「…あぁ…、ありがとうは?」と、その言葉に返すと
「…あぁ…、悪かった」と、アルベルト。
それをポドリアンとグリフが笑ってみていた。
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