第4話 3つの大陸を渡る旅 下

 黒鉄くろがね山脈には、多くの鉱山や地下への迷宮も点在していた。


 中規模パーティーとして、実績をあげていたアイゼンらは、難易度が少しばかり高い迷宮グランツァの攻略に向かった。

 このグランツァは、黒鉄くろがね山脈の麓にあり、デルヘルムから一日かかる距離であった。


 そこの攻略は、あの時で、まだ地下5層までしか行っていなかった。

 現在は12層まで行っているようだ。


 その5層で、アイゼンらは自分らの力量不足を感じた事件にあった。


 その迷宮は、サルの亜人の居城であったのだ。

 その時の5層に、サルの亜人の幹部。『グリラムア』と言う亜人が住んでおり、そこでアイゼンらは、12名中5名の仲間を失った。


 街に帰ったアイゼンらは、紆余曲折を経て、前に進む事を決めた。


 それからしばらく、デルヘルムの森を抜けた草原で狩りをしていたが、『』と、ナガミチが言い、彼らも賛同して旅をする事にした。


 今いる街はデルヘルム、そして隣街のゲルヘルム、その隣街のグルヘルム…。

 黒鉄くろがね山脈以南には、街と言える大きな街は、この3っつで、ゲルヘルムとグルヘルムの街らを拠点に狩り兼修行を行い、5か月後にはデルヘルムに戻り、宿敵『グリラムア』の討伐に成功した。


 その後、『』とナガミチが言い、黒鉄くろがね山脈の向こうを目指すことにした。


 一同の中には、同調できない者もいて、今いる5人以外は、そこで離脱した。


 約1か月かけて違う職種の収得。

 アイゼンは魔法使い。サーシャは、神官。ナガミチは、アサシン。グリフは格闘家。ウイザは、槍使いの職業を取得した。

 そして、5人は黒鉄くろがね山脈を越え、『オースティア王国』、この島の名前である。

 この『オースティア王国』の帝都『シドルア』に着くと、そこの港から西の大陸へとむかった。


 最初に着いた国は、『フーリカ王国。』緑の楽園と言われる国だった。


 そこから北上したアイゼンらは、『ラーシュ王国』に着く、そこでドワーフ族のポドリアンが仲間になった。

 ポドリアンの案内で、少し北上したのち、『スイルランド』にて、エルフの里から、『ラーシュ王国』の帝都、『バチンカ』のいにしえの神殿に、エルフの秘宝、『幻影げんえい燭台しょくだい』の保護を求める旅をしていた、テレニア、アルニア、スクラットの3人と他6名。

 それを護衛するのパーティーと出会い、一緒に行動をする事になった。


 その後、いにしえの神殿への保護がおわり、スイルランドに帰った時、テレニアの故郷が壊滅されていた。

 そこを襲ったのが吸血種族であった。


 かなりやっかいな種族であり、吸血鬼の王『グラハル・リバル』には、3人の息子がいた、名前は、『グレアル・リバル』『マグナル・リバル』『ウリゲル・リバル』、特に危険なのが、3男の『ウリゲル・リバル』であった。


 この男は召喚術師であり、召喚獣にてパーティーを翻弄した。

 次男の『マグナル・リバル』は、テレニアに好意を持ち、執拗に追いかけまわしていた。

 長男は、ただ見ているだけでどんな男かもわからなかったが、なにか、異様な雰囲気のある感じがしていた。


 その後、命かながら逃げたアイゼンらは、『ロッシーナ王国』を東へ縦断したのち、海峡に突き当たった。

 地元の住人が言うには、ここは、グリーベン海峡と言われ、渡る事の出来ない海峡と言う事であった。

 至る所で渦が巻き、海流が速い。


 この海を渡るには、2つ。

 ジア王国から船に乗り、『リメリア王国』のフラッシと言う港につくか、海峡の下を通るかだと言われた。


 アイゼンらは、地下を選択。


 そこは、地下1000メートルにある洞窟であり、かなり寒かった。

 そして、そこには巨大な街の残骸らしきものがあり、地上の作りや素材とは異なる物質で、建物らしきモノが立ち、また、道みたいなモノが走っていた、その道には、箱型のようなモノに丸く黒い物体が4本ついているものや、箱に筒がついていて、下にはなにやら細かい歯車があり、それを鉄で囲っているものもあった。


 入る前に、住人が言っていた。

 この地下には、いにしえの繁栄があると…。


 そこで遺物のようなモノを数点集め、この地下洞窟を抜けて『リメリア王国』に到達した。


 ここで、アイゼンらの旅も7年が経過していて、所持品も多くなっていたので、ウイザ、スクラットとアルニア、そして、ポドリアンにサーシャ、アイゼンの6人は引き返し、『ジア王国』から船で『フーリカ王国』へと行き、『オースティア王国』、そして、デルヘルムへの帰途に就いた。


 ナガミチらは、先に進んだ。

 『リメリア王国』の帝都シントに、不死族のちょっと変わった錬金術師がいるとの事で会いに向かった。

 その錬金術師は、いにしえの伝承に詳しく、この錬金術師の家では、なぜか、魔法や火を使わなくとも明るく光る球を持っていた。

 彼曰く、『』と言うようだ。

 近くの川に水車を設け、その水車の回転を利用して、電気と言うモノを作り出し、その電気を使って、球を光らせているとの事であった。


 また、ここでナガミチは、錬金術師から『いざな』と『』の存在を聞き、元の世界に帰る事が出来る事を知った。


 いままで、何回も、以前にいた世界の事を考えていた我々には、朗報だった。

 そんな彼を、強引に仲間にして南下を始めた。


 最後の王国『ジブリラ王国』に着く、そして、ナガミチとアズサらは、ある扉を潜った。

 その扉…と言っても、『七色に渦の巻くもや』、のようなものが揺らめいていて、その中に入っただけだったが…。

 数十分、そのもやを歩くと、いきなりもやが晴れた。

 そこは、赤黒い岩盤を持ち、赤黒い雰囲気の場所であった。

 熱く、時々、轟音をとどろかせながら上がる噴煙と噴石。ゆっくり流れる溶岩が覆いつくした場所だった。


 そして…、そこには…。


 翼を広げると、ゆうに80メートルはあろう、黒紫のドラゴン、いにしえの伝承では、その生物を『』と称していた。

 最上位ドラゴンと、その背に真っ黒く見えるが、光の当たり方で紫に変化する、鎧を全身にまとい、紅い角が2本生えている亜人がいた。


 彼が名乗った名前は、竜騎士族の王。『』。


 ナガミチたちは、もと来た道が無くなっている事を知ると、戦闘モードに入っている『』と竜騎士の王、『』との戦いを余儀なくされていた。


 そして…。

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