第2話 お目覚めの狼さん

「あ~よく寝た」

 二人を食べたと思った狼はそのまま家を出ました。

「う~ん、何だか腹がやけに重いな。食い過ぎたのかな」

 狼はそんなことを呟きながら、新たな獲物を見つけるために森の中を彷徨っていました。

 そして、運よく見つけることが出来ました。

「よしよし。まん丸太っていて旨そうだな」

 狼が飛びかかろうとした瞬間。

 けたたましい音が森に響きました。

「な、何だ」

 その音は狼の腹の中から聞こえてきました。

 狼は何とかしょうとお腹を揺すったり、叩いたりしました。しかし、一向に音は止みません。

 そうこうしているうちに、相手が気づいてしました。

「ひ、お、狼だ! 」

「あ、ちょっと、待て」

 狼に気付いた男は全速力で逃げていきました。狼は追いかけようとしましたが、音がうるさいのと大きなおなかのせいで、上手く動くことが出来ませんでした。

 音に悪戦苦闘すること、約三十分、ようやく音が鳴りやみました。

 しかし、狼は酷く憔悴しきってしまいました。

「一体、どうなっちまったんだ、俺の体」

 その問いかけに答える者はいませんでした。

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