腹の中身は何だろな

花本真一

第1話 救出からの……

 物語は赤ずきんちゃんとその御婆さんが親戚の猟師のオルト叔父さんから狼の腹から救出された所から始まります。

 叔父さんは二人の無事を喜び、また二人も互いを抱きしめ合いながら涙を流して喜びました。

「さあ、赤ずきん、お母さん、早く逃げよう。狼が目を覚ましてしまわないうちに」

 そう、安心するのはまだ早かったのです。何故なら、三人の目の前には人食い狼が寝転がっているのですから。

「そうね。逃げましょう」

 赤ずきんは叔父さんの手を取って、逃げようとしました。

 しかし、御婆さんはその場から動こうとしませんでした。

「どうしたの、おばあちゃん?」

「……赤ずきん、オルト。このままこの狼をほっといて良いの?」

「え」

「お母さん、それは」

「私達は今回奇跡的に助かった。だけど、他の人達が襲われたとき、また誰かに助けてもらえるとは限らない。そんな時も考えた上で、何か対策を練っておくべきだと思うの」

「なるほど」

「でも、どうするの」

 するとお婆さんはとびきりのいたずらを思い付いた子どもの様な笑顔を浮かべて、こういいました。

「もう、この狼が二度と人間を襲えないように、懲らしめてやるのさ」

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