第53話 フランの思い
フランの話は続く。
ジェイミィも覚えてるでしょ。あれさ、身体検査の合格通知が来て割とすぐに最後の抽選で選ばれましたっていう通知が来たの。
「そうだっけ?」僕はあんまりよく覚えていなかった。僕は反対するであろう母になんと言おうかそっちを考えていたから。
で、実際に抽選で選ばれたという通知が来たら500万コインに目がくらんだというか、どうしよう、どうしようと思っているうちに辞退する機会がなくなっちゃって。。。
なんと言うかさ、優柔不断だったのよ。
500万コインは大金だ。誰もフランを責められないと思う。まあ、僕の母親のように18歳になったら早く結婚して早く子供を作るのがよくて、1年間を無駄にするなんてとんでもないと考える人も多いけれど。
フランはチラッと時計を気にした。
そろそろシャワーを浴びようと言ったほうがいいかな、と僕が思った時、フランが言った。
それで、ジェイミィはどうしてB計画に応募したの?
今からそういうことをしようとする相手にエリナの話をするのは、と僕は躊躇した。アウラはいい話ね、と言ってくれたけど。それでも、B計画を利用しようと考えた点ではフランと同じだ。僕は正直に話した。
「すごい、さすがジェイミィね」
感動された。そんなにいい話なのかな?
私は中途半端な気持ちでここに来たけど、ここでタキタに出会った。
え、話がそっちに行くの、と思ったけど、僕は黙って聞いた。そうか、最初のパートナーチェンジの話が出たときもフランはなんやかんや言ってたし、その時僕はフランはタキタが好きなんだろうと思ったんだった。
それで、タキタとはそういうことをしたけど、次のパートナーとはそういうことをしたくないと思ってしまったの。B計画に応募しておいてなんだっていう話なんだけど、
フランはその後もなんだかんだと言い募っていた。
「うーん」
僕はこの惑星に来てびっくりばっかりしていたけど、今回はそんなにびっくりではない。意外だな、という感じだ。
フランのように特定の相手としかそういうことをしたくないと考える人は昔はそこそこいたらしい。そういう人が多かったのは、多分今から100年とか200年とか昔の話だし、好きになって最初に結婚した相手と普通に子供を作れればそんな風に考えていたとしても何も問題は無い。
以前からそう考えていたわけじゃないんだけど、タキタと出会ってそう思うようになってしまったの。ごめん、古臭い考え方で。
「フランが謝ることは無いけど。だってこっちに来てからそう思うようになったんだろ」
もちろんよ。以前からそう考えていたんならここには来ないわ。
だから、その、身勝手なお願いだとは思うんだけど、
「僕はそういうことをしたくないと思っているあいてに無理やりそういうことをする気はないよ」断言した。
よかったぁ。フランは心底安心したように言う。
「でも」僕がそういうとフランはギクリとしたようにこりらを見る。
僕はその顔を見て、ああ、フランはやっぱりかわいいなぁ。できればそういうことをしたいんだけど。
「でも、それってB計画的にはどうなのかな?」
黙っていればわからないってユウミは言ったわ。
なんでユウミ?と思う。確かにフランとユウミは仲がいいように見えるけど。
ユウミに相談したの。
とフランは言う。それは相談する相手を間違っていると思うよ。
僕たちがそんな話をしていると、コテージのドアがひそやかにノックされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます