第47話 誰が隠しているのか
次の日の午前中、僕は畑の端のほうで作業をしているサニアにまた話がしたいと言ったら、サニアはその日の午後にラボに来てくれた。
「あれから僕も考えたんだ」そう言ったら、サニアならジェイミィでも考えるの?とか言いそうだと思っていたけどそんなことはなかった。
うん、それで?
「この前のサニアの話。子供ができやすい日とできにくい日がある。これは本当だとして、サニアはこれは隠されているといったよね?」
言ったわ。
「それも本当だとしたら隠しているのは誰?隠して誰が得をするの?」
隠しているのは政府。
「え!」思っていたよりも大きい答えが出てきた。僕だって、隠しているのは自分の説が間違っていると認めたくない研究者、とかそんな答えでは納得できないことも予想はしていたけれど。
「じゃあそれで得をするのは誰?役人とか?」
それだけじゃないわ。得をするのは、そうね、中流階級以上のほぼすべての人。
「え、どういうこと?」
サニアは賢すぎる。僕に理解力が無いせいだとはあんまり思いたくない。
ここからは想像の範囲の話だけど。とサニアは前置きをした。
政府は安い労働力が欲しいんだと思う。
まず政府は人口を増やすわけにはいかない、現状維持かできれば年間0.1から0.5%ぐらい減らしたいと思っている。ここまではOK?
「わかるよ」
その場合、子供を1人しか作らない夫婦1組に対して子供を3人生む夫婦が1組、子供を1人も作れない夫婦1組に対して子供を3人生む夫婦が2組いれば人口は維持できる。
「今もそうじゃないの?」
数だけ見ればそうよ。でも、子供を作らないからと言ってどうして強制労働させられるの?3人生んだからと言ってどうして貧民窟に追いやられるの?
「それはルールを守ってないから、、、」
と言いながらも僕はやりきれない思いがした。ヤコブだって自分の意思で子供を作らなかったわけじゃない。
「子供を作れなかった人は別にしても3人目は生まないという選択ができるじゃないか」
出来てしまった子供を闇の川の向こうに流すという選択が正しいの?
「そもそも作らなきゃいい」
それは本能だからしょうがないじゃない。
「あ」何かがカチリとはまる感覚がした。何故3人目の子供を作ってしまう人がいるのか。これは疑問だった。今までは夢の国に行かない男が悪いと思っていたけれど。
ユウミの話を聞いた今では違う。思ったより沢山そういう女性がいるのだ。
「あの、サニアも性欲があるの?」
聞いてしまった。
なんで話がそこに繋がるのよ?まあ、全ての女性には性欲が無いという話は疑問だけれど、とりあえず今はおいておいて。
「あ、うん」話は1つづつした方がわかりやすいよね。
えっと話がどこまで行ったっけ、ああそうだ、子供の数。子供の数が0人とか3人が不公平と言うなら税率を変えればいい。実際今だって子供が1人か2人かで税率が違うんだから。
それは知っている。国民は、同じ階級なら給料は同じようなものだけど子供の数や年齢によって細かく税率が変わる。
それから。
サニアの話はまだ続く。
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