貝殻さん

 ペロリはある時貝殻さんに一目惚れした。

「あなたは僕のことを知っていますか? 僕はなんだかあなたのことを知っている気がする」

貝殻さんはあらあらといった御様子。

「はじめましてよ。でもなんだか知っている気がするっていうのは一緒ね! 残念だけど私はもう空っぽなの。もしかしたら私の中に合った何かはあなたと知り合いだったかもしれないわ。人はみんな何かを失いながら生きていくの。だけど探し続ければいつかまた取り戻せる。だから君も諦めなければ自分がなにかきっと分かるわ」

貝殻さんはペロリのことをそっと抱いた。貝殻さんはたしかに空っぽだった。でもなぜか暖かく感じた。ペロリは自分が少し大きく成長したような気がした。


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